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多景島

(たけいしま)

琵琶湖に浮かぶ無人島

多景島(たけしま・たけいしま)は、琵琶湖に浮かぶ無人島です。「竹島」「武島」とも呼ばれることがあり、琵琶湖国定公園第1種特別地域に指定されています。所属住所は滋賀県彦根市八坂町です。琵琶湖の美しい景色に囲まれたこの島は、歴史や文化、自然に満ちた特別な場所です。

概要

もともと多景島は「竹島」と呼ばれていました。その名の由来は、島内に竹が多く自生していたことによります。しかし、江戸時代に荒神山から土を運び、植林が行われたことで景観が変わりました。木々が成長し、島を眺める角度によって多様な景色が見られるようになり、「多景島」という名前が定着しました。

多景島は滋賀県彦根市八坂町の沖合に位置しています。1655年(明暦元年)、長浜・妙法寺の僧である慈雲院日靖上人が島内に日蓮宗見塔寺を開山しました。現在、島全域が見塔寺の敷地となっており、無人島であるため、管理は本土側の見塔寺別院(彦根市柳川町)で行われています。島全体が花崗岩で形成されており、自然の地形と石の美しさが特徴的です。

島内の史跡

題目岩

「南無妙法蓮華経」の文字が彫られた高さ10メートルの岩です。題目岩には、歴史的な伝説が残されています。特に有名なのは、桜田門外の変の際に、この岩から鮮血が滲み出たという言い伝えです。しかし、長年の風化により、2018年には上部が崩落してしまいました。

誓の御柱

誓の御柱は、高さ20メートルの石柱で、ここには明治天皇が定めた五箇条の御誓文が刻まれています。五箇条の御誓文は、明治時代の初めに発表された日本の基本的な国是を示す文書であり、この御柱がその歴史的重要性を物語っています。

日蓮上人像

多景島には、日蓮宗の開祖である日蓮上人の像も建てられています。日蓮上人は、日本仏教史において重要な役割を果たした僧侶であり、彼の教えは多景島に深く根付いています。

釈迦断食行像

釈迦断食行像は、仏教の開祖である釈迦が厳しい断食行を行っていた姿を表した像です。この像もまた、仏教信仰の深さを感じさせるもので、多景島の宗教的な歴史を象徴しています。

石造七重層塔

多景島には、石造の七重層塔もあります。この塔は、仏教建築の象徴であり、古代からの信仰が息づいていることを示しています。高さと美しさが特徴のこの塔は、島内の景観を一層引き立てています。

見晴らし岬

多景島には「見晴らし岬」という絶景ポイントがあります。この岬からは、琵琶湖の広大な景色を一望することができ、特に夕方の風景は格別です。観光客にとっては、訪れる価値のある場所です。

多景島の自然

タケシマカワニナ

多景島の周辺には、カワニナの一種である「タケシマカワニナ」(学名:Biwamelania takeshimensis)が生息しています。タケシマカワニナは、多景島周辺のみに生息する固有種であり、非常に貴重な生物です。環境省のレッドリストでは、準絶滅危惧に指定されており、その保護が求められています。

交通アクセス

オーミマリンによるアクセス

多景島へのアクセスは、彦根港から出航するオーミマリンの船で行うことができます。彦根港から多景島行きの連絡船に乗ると、約20分で到着します。

「回遊便」と「上陸便」

オーミマリンには「回遊便」と「上陸便」の2種類の便があります。「回遊便」は、島に接岸せず、上陸することができません。そのため、多景島に上陸を希望する場合は、「上陸便」を選択する必要があります。観光計画を立てる際には、これらの便の違いに注意が必要です。

まとめ

多景島は、琵琶湖の美しい自然環境の中で、歴史や宗教的な遺産が息づく魅力的な無人島です。見塔寺を中心とした仏教信仰の歴史、風化によって崩れた題目岩や、五箇条の御誓文が刻まれた誓の御柱など、見どころが満載です。また、タケシマカワニナなどの固有種が生息するなど、自然の宝庫としての一面もあります。オーミマリンの連絡船で気軽に訪れることができるので、琵琶湖周辺の観光の際にはぜひ訪れてみてください。

Information

名称
多景島
(たけいしま)

彦根・近江八幡

滋賀県