琵琶湖に大型のフナ、主にニゴロブナのメスの卵巣以外の内臓を取り除き、そこへ塩を詰めて3ヶ月ほど重しをのせて漬け込んだもの。その後フナを取り出してよく洗い、飯に塩を混ぜたものを詰め再度数ヶ月、長いものだと2年程漬け込んでから食す。一般的にはフナのみを食べるが地元ではペースト状のご飯ごと食べる人も多い。発酵食品であるため、独特の匂いから敬遠する人も多いが、反面熱狂的な愛好家も多数存在する。近年では原料となるニゴロブナの漁獲高が減っているため、値段の高騰化が問題となっている。
なれずしは、昔からの伝統的な寿司で、塩漬けした魚と米を漬け込んで発酵させる料理です。「なれずし」とは、「馴れる、熟れる」から来ており、魚を長期保存するための加工方法です。腐敗しやすい魚を発酵させ、年間を通じて食べることができるようになり、優れた保存法とされています。滋賀県では、フナやウグイ、ハス、モロコ、アユ、ハイ、ビワマス、コイ、ドジョウなどがなれずしに使われます。
特に「ふなずし」は代表的なもので、琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナが主に使用されます。フナを丸ごと漬け込み、発酵中に産生する乳酸で骨が軟らかくなり、骨まで食べることができます。乳酸菌の整腸作用もあり、栄養価が高いため、健康にも良いとされています。古くから薬の代わりに食べる習慣があり、滋賀県の無形民俗文化財として選ばれています。
「ふなずし」は、祝い事や正月などの特別な席や人が集まる時に食べられます。以前は各家庭で作られていましたが、最近では琵琶湖の環境悪化や外来魚の影響で、ニゴロブナが減少し、家庭でのふなずしの作り手も減っています。
食べ方は、春先に塩漬けし、夏に塩を切って水洗いし、干した後、桶に飯を敷き、その上にフナを重ねずに並べ、蓋をして重石を載せる工程を「本漬け」と呼びます。この後、正月まで数か月間漬け込んで発酵させます。
主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:フナ、米、塩