旧西川家住宅は、滋賀県近江八幡市にある歴史的な古民家です。江戸時代から明治時代前半にかけて活躍した近江商人である西川利右衛門(にしかわ りえもん)の屋敷で、現在は国の重要文化財に指定されています。この住宅は、江戸時代の町並みを今に伝える貴重な遺構であり、訪れる人々に当時の商家の風景を楽しませてくれます。
旧西川家住宅は、1930年(昭和5年)に西川家の子孫が途絶えたことを受けて、市に寄贈されました。寄贈後は郷土資料館や歴史民俗資料館とともに一般公開され、訪問者はその歴史と文化を学ぶことができます。また、この建物は新町通りに面しており、八幡伝統的建造物群保存地区に含まれています。保存地区の町並みと調和した古民家の姿は、当時の町並みを今に伝える貴重な存在です。
西川利右衛門は「大文字屋」の屋号で知られ、江戸・京都・大阪に店舗を展開し、蚊帳や畳表などを商いで財を成しました。西川家は初代から11代まで約300年にわたり商業活動を続けてきましたが、1930年に子孫が途絶え、土地と建物が近江八幡市に寄贈されました。
現在の主屋は3代目の西川利右衛門によって、1706年(宝永3年)に建てられたもので、1983年1月7日に国の重要文化財に指定されています。その後、1985年10月から33か月にわたる工事で改修が行われました。
旧西川家住宅の主屋は、切妻造(きりづまづくり)で瓦葺(かわらぶき)、一部が2階建てとなっています。建物は、南北に通る新町通りの西側に位置し、北側には「店土間」「玄関土間」「台所土間」と続く通り土間が設けられています。また、店土間の南側と北側の新町通りに面した側には「店」があり、商いに使用されていたと考えられます。
「玄関土間」と「台所土間」の南側には2列に居室が設けられており、さらに南側には庭園に面した座敷が広がっています。全体的に質素な意匠が特徴ですが、建築材料には良質な素材が使用されていることがわかります。
特筆すべきは、庭に建つ土蔵です。この土蔵は、近世の建物としては珍しい3階建ての構造を持ち、非常に貴重な建造物です。しかし、2014年8月に台風11号の影響で漆喰壁が剥がれ落ちる被害を受けました。
旧西川家住宅は1983年(昭和58年)1月に国の重要文化財に指定され、その後、1985年(昭和60年)から3年間にわたる保存修理が行われました。この修理によって、建物は建築当初の姿に復元され、現在もその美しい姿を保っています。
主屋と土蔵が国の重要文化財に指定されています。主屋は、「附:家相図1枚、箱入祈祷具1具」を含む形で保護されています。また、土蔵も「附:板札1枚、鬼瓦1個」が含まれており、歴史的な価値が高いとされています。
西川利右衛門は、屋号を「大文字屋」と称し、蚊帳や畳表を扱う商売で財を成しました。江戸、大阪、京都に店舗を構え、約300年にわたって近江商人として成功を収めました。西川家は「先義後利栄・好富施其徳」という家訓を大切にし、義理人情を第一とする商売の精神を守り続けてきました。
西川家の繁栄は、義理を重んじ、利益追求を後回しにするという商売哲学によって支えられていました。この哲学は「得られた富に見合った人間形成を行う」という教えに基づいており、今なお多くの人々に感銘を与えています。
旧西川家住宅は、滋賀県近江八幡市の観光名所の一つとして、年間多くの観光客が訪れます。訪問者は、江戸時代の近江商人の暮らしぶりや商業の歴史に触れることができるだけでなく、伝統的な建築様式を間近に見ることができます。
旧西川家住宅は、以下の時間に一般公開されています。
入館料は以下の通りです:
この料金で、旧西川家住宅だけでなく、歴史民俗資料館、市立資料館、旧伴家住宅の4館を共通で観覧することができます。
旧西川家住宅へのアクセスは非常に便利です。以下の交通手段を利用して訪問することができます:
旧西川家住宅には、普通車5台分の駐車場が用意されています。ただし、駐車スペースが限られているため、公共交通機関の利用が推奨されます。
旧西川家住宅は、江戸時代の商人の暮らしと文化を今に伝える貴重な建物であり、滋賀県近江八幡市の重要な観光スポットです。国の重要文化財として保護されており、その歴史的価値は非常に高いです。訪問者は、歴史的な建築物を見学しながら、近江商人の商いの歴史に触れることができます。ぜひ、旧西川家住宅を訪れて、当時の商人文化を体感してみてください。