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旧八幡郵便局

(きゅう はちまん ゆうびんきょく)

旧八幡郵便局は、日本の滋賀県近江八幡市仲屋町中8にある歴史的建造物です。ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計による洋風建築が特徴で、かつて郵便局として利用されていましたが、現在はギャラリーやイベント会場としても活用されています。

旧八幡郵便局の歴史

旧八幡郵便局の歴史は、1873年(明治6年)に設立された「八幡郵便局」に遡ります。1895年(明治28年)に現在の所在地である滋賀県近江八幡市仲屋町に移転しました。その後、1921年(大正10年)、アメリカの建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによって新たな局舎が設計され、洋風建築の郵便局が完成しました。この郵便局は、1960年(昭和35年)まで利用され、1949年以降は「近江八幡郵便局」としての役割を果たしました。

移転とヴォーリズ建築の誕生

1961年(昭和36年)には、近江八幡市宇津呂町に新しい近江八幡郵便局が竣工し、旧八幡郵便局はその役目を終えました。しかし、その後もヴォーリズ建築としての価値が再評価され、1994年(平成6年)には近江八幡市でヴォーリズ顕彰シンポジウムが開催されました。このシンポジウムを契機に、市民有志による「一粒の会」が発足し、旧八幡郵便局の保存活動が始まりました。

保存活動と復元

2000年(平成12年)には、「一粒の会」は特定非営利活動法人(NPO法人)として正式に認可を受け、「ヴォーリズ建築保存再生運動一粒の会」として活動を拡大しました。旧八幡郵便局は、この「一粒の会」の事務所としても使用されるようになり、2004年(平成16年)には空き家時代に取り壊されていた玄関部分が復元されました。現在では、ギャラリーやイベント会場など多目的スペースとして地域に活用されています。

建築の特徴

旧八幡郵便局は、スパニッシュ様式と和風の町屋造りを融合させたデザインが特徴です。この独特なデザインは、異なる文化が調和し、町並みにも違和感なく溶け込んでいます。特に旧市街の中心部に位置しているため、ランドマーク的な役割を果たしており、訪れる人々に深い印象を与えています。

1階と2階の構造

1階部分はかつて郵便局として機能していた際の空間で、ショップや受付としての役割を果たしていました。現在では、イベントや展示会のスペースとして活用されることが多く、ショップが運営されていた時代の名残を感じることができます。2階部分もギャラリーとしての役割を持ち、さまざまな芸術作品や地域の歴史に関する展示が行われる場として提供されています。特にギャラリーとして利用される際には、建物自体が展示物の一部となるような趣があり、来訪者は建築の魅力を存分に味わうことができます。

敷地奥部の様子

旧八幡郵便局の敷地奥部も、イベントスペースやアート展示などに使用されることがあり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。特に庭園や自然に囲まれた環境があり、都市の喧騒を忘れて静かな時間を楽しむことができるでしょう。

交通アクセス

旧八幡郵便局は、JR東海道本線(琵琶湖線)および近江鉄道八日市線(万葉あかね線)の「近江八幡駅」から徒歩20分の距離に位置しています。駅からのアクセスも良く、近江八幡市を訪れる際に気軽に立ち寄ることができる場所です。また、周辺には歴史的建造物や観光スポットが点在しており、観光の拠点としても便利です。

周辺の観光スポット

旧八幡郵便局の周辺には、他にも多くの歴史的建造物や観光スポットがあり、近江八幡市の歴史と文化を楽しむことができます。以下は、特におすすめのスポットです。

池田町洋館街

旧八幡郵便局の近くに位置する「池田町洋館街」は、ヴォーリズが設計した洋風建築が集まるエリアです。このエリアでは、ヴォーリズが手掛けた多くの建築を見ることができ、彼の建築理念を肌で感じることができます。

旧西川家住宅(重要文化財)

近江八幡市にある「旧西川家住宅」は、江戸時代の豪商西川家の邸宅で、国の重要文化財に指定されています。美しい庭園とともに、当時の生活様式や建築技術を知ることができる場所です。

アンドリュース記念館(旧近江八幡YMCA会館)

アンドリュース記念館は、かつてYMCA会館として使用されていた建物で、登録有形文化財に指定されています。ヴォーリズの設計による美しい洋風建築であり、現在は記念館として公開されています。

白雲館(登録有形文化財)

「白雲館」は、かつて教育機関として使用されていた洋風建築で、現在は近江八幡市の観光案内所として利用されています。建物自体が登録有形文化財に指定されており、観光客にとっての重要な情報提供施設でもあります。

ヴォーリズ記念館(滋賀県指定文化財)

ヴォーリズ記念館は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの業績を記念して設立された博物館です。彼の設計による建物が保存されており、ヴォーリズがいかにして日本の建築に影響を与えたかを知ることができます。

八幡堀

「八幡堀」は、かつて商業活動の中心として栄えた運河で、現在でもその美しい風景が残っています。堀沿いを散策することで、当時の繁栄を感じることができるでしょう。

ボーダレス・アートミュージアム NO-MA

「ボーダレス・アートミュージアム NO-MA」は、アートと障がい者福祉を融合させた独自の展示が行われるミュージアムです。多様な視点からアートを楽しむことができる場所として、国内外から注目を集めています。

まとめ

旧八幡郵便局は、ヴォーリズ建築の美しさと歴史的価値を持つ貴重な建物です。ギャラリーやイベント会場として利用されている現在も、地域に根ざした活動が行われており、訪れる人々に歴史と文化の深さを伝えています。滋賀県近江八幡市を訪れる際には、ぜひこの歴史的建造物を訪れ、その魅力を堪能してください。

Information

名称
旧八幡郵便局
(きゅう はちまん ゆうびんきょく)

彦根・近江八幡

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