日牟禮八幡宮は、滋賀県近江八幡市宮内町にある歴史ある神社で、近江八幡市の市名の由来ともなった重要な神社です。古くから近江商人の信仰を集めており、ここで開催される二大火祭「左義長まつり」と「八幡まつり」は、国の選択無形民俗文化財に指定されています。また、境内地は「八幡伝統的建造物群保存地区」の構成要素としても位置づけられています。旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社となっています。
日牟禮八幡宮の創建は、成務天皇元年（131年）に遡ります。当時、成務天皇が高穴穂の宮に即位した際、武内宿禰に命じてこの地に大嶋大神（大国主神）を祀ったのが草創とされています。その後、応神天皇6年（275年）には、応神天皇が奥津嶋神社から帰還の際に社の近辺で休憩し、祠を建てて「日群之社八幡宮」と名付けられました。持統天皇5年（691年）には、藤原不比等が参拝し、和歌に因んで「比牟禮社」と改められたと伝えられています。
正暦2年（991年）には、一条天皇の勅願により八幡山（法華峰）に社を建立し、宇佐八幡を勧請して上の八幡宮を祀りました。その後、寛弘2年（1005年）には、山麓に下の社を建立しました。室町時代には、足利将軍家や六角氏からの寄進を受け、天正13年（1585年）には豊臣秀次が八幡山城を築城する際に、上の八幡宮を下の社に合祀しました。しかし、秀次の領地替えや死去により、社殿の移転は中止されました。
関ヶ原の戦いの後、徳川家康が参詣し、御供領五十石を寄付しました。その後も徳川家光や家綱が御朱印を下しました。1876年（明治9年）には郷社に列せられ、1916年（大正5年）には県社に昇格しました。そして、1966年（昭和41年）には神社本庁の別表神社に加列され、日牟禮八幡宮と改称されました。
日牟禮八幡宮の祭神は以下の3柱です。
日牟禮八幡宮の境内には、歴史的な社殿や神社があります。以下は主な施設です。
日牟禮八幡宮には、以下の重要文化財が指定されています。
なお、当神社の境内は、国の重要伝統的建造物群保存地区「近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区」に含まれています。
左義長まつりは、織田信長が安土城下で毎年正月に盛大に行い、自ら異粧華美な姿で踊ったという奇祭です。信長の死後、豊臣秀次が八幡山城を築き、安土から移住した人々によって城下町が開かれ、これに対抗する形で左義長が奉納されました。
現在、左義長まつりは毎年3月中旬の土日に行われ、66ヶ町の氏子たちが約3メートルの松明を持ち、町内を練り歩きます。土曜の午後には左義長が神社から町に繰り出し、日曜の午後には松明が燃え盛り、湖国に春の訪れを告げます。
八幡まつりは、応神天皇6年（275年）に始まったとされる由緒ある祭りです。湖辺の葦で松明を作り、天皇一行を道案内したことが起源とされています。
毎年4月14日と15日に開催され、14日には「松明祭」、15日には「太鼓祭」として知られる本祭が行われます。各郷の大太鼓が宮入りし、神職による祝詞が捧げられます。
左義長まつりと八幡まつりは、滋賀県無形民俗文化財に指定され、1992年（平成4年）には国の選択無形民俗文化財にも選ばれました。
9:00～17:00
無料
近江八幡駅からバスで10分 → 大杉町から徒歩で1分