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関蝉丸神社

(せきせみまる じんじゃ)

関蝉丸神社は、滋賀県大津市にある歴史ある神社です。この神社は、上社(旧称関大明神蝉丸宮)と下社(旧称関清水大明神蝉丸宮)という二つの社で構成されており、蝉丸神社という名で知られる分社も含めて「蝉丸神社」と総称されることがあります。社格は旧郷社に位置付けられており、特に芸能に関する信仰の神としても名高い神社です。

祭神

関蝉丸神社では、上下両社それぞれに相殿神として蝉丸霊が祀られています。

上社

猿田彦命(さるたひこのみこと)を祭神とし、旅人や道を開く神として崇拝されています。

下社

豊玉姫命(とよたまひめのみこと)を祭神とし、海神の娘であり、豊穣や生命を司る神とされています。

関蝉丸神社の歴史

神社の起源

社伝によると、関蝉丸神社は弘仁13年(822年)に小野岑守(おののみねもり)によって創建されたとされています。猿田彦命と豊玉姫命が逢坂山の山上(上社)とその麓(下社)にそれぞれ祀られ、旅人を守る神としての役割を担うようになりました。貞観17年(876年)には、近江国の「坂神」が従五位下を授かり、この「坂神」が現在の関蝉丸神社に該当すると考えられています。

蝉丸と関蝉丸神社

平安時代中期に活躍した琵琶の名手、蝉丸(せみまる)が逢坂山に住んでいたことから、彼の死後にはその霊が上社と下社に祀られるようになりました。天禄2年(971年)には円融天皇から綸旨が下され、それ以降、蝉丸は歌舞音曲の神としても崇敬されるようになります。蝉丸は琵琶の名手であり、また平安時代の文化人として広く知られており、その後、彼が信仰される対象となったことで神社はさらに発展しました。

近代の歴史と復興

2010年(平成22年)に当時の宮司が死去した後、管理者が不在となり、神社は一時的に荒廃しました。特に下社の社殿では、雨漏りや老朽化が進み、さらに2013年(平成25年)の台風による倒木が下社本殿の屋根を直撃したことで、修復が必要な状態となりました。

この状況を打開するため、2015年(平成27年)より「芸能の祖神を蘇らせる」をテーマに掲げ、毎年5月に「関蝉丸芸能祭」が開催されるようになりました。この祭では能や雅楽、さらにはジャズなど多彩なジャンルの芸能が披露され、神社の芸能文化の復興が進められています。2019年(令和元年)には復興支援奉賛会が結成され、クラウドファンディングなどを通じて修復資金が集められ、2023年(令和5年)には本殿や唐門、回廊の修復が完了しました。

末社

関蝉丸神社には、いくつかの末社が存在しています。これらはすべて下社の境内に位置しており、地域住民からも信仰を集めています。

主な末社

文化財・史跡

重要文化財

関蝉丸神社には、国指定の重要文化財がいくつか存在しています。その中でも、下社にある石燈籠「時雨燈籠」は、歴史的価値が高く、訪れる参拝者や観光客にとって重要な見どころです。

その他の見どころ

交通アクセス

電車でのアクセス

関蝉丸神社への最寄り駅は、JR琵琶湖線(東海道本線)の大津駅、または京阪京津線の上栄町駅です。両駅からは徒歩でアクセス可能です。

参道の踏切

下社の境内を京阪京津線の路線が横切っており、参道には踏切が設けられています。特に参拝の際には、電車に注意しながら踏切を渡ることが必要です。

観光のポイント

関蝉丸神社は、芸能や音楽の祖神として多くの信仰を集めており、毎年の関蝉丸芸能祭では多彩な芸能が披露されるなど、文化的なイベントが充実しています。また、歴史的な建造物や文化財が多く残されており、歴史や伝統に興味のある方には必見の観光スポットです。特に、下社の「時雨燈籠」や「関の清水」といった重要な文化財は、一見の価値があります。さらに、京阪京津線が境内を通り抜けるというユニークなロケーションも見逃せないポイントです。

Information

名称
関蝉丸神社
(せきせみまる じんじゃ)

大津・比叡山

滋賀県