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幻住庵

(げんじゅうあん)

松尾芭蕉の小庵

幻住庵は、滋賀県大津市にある松尾芭蕉が隠棲した小さな庵であり、彼の文学作品に深く関わる場所です。元禄3年(1690年)、芭蕉が「奥の細道」の旅を終えた翌年の3月頃、膳所の義仲寺無名庵に滞在していましたが、門人である菅沼曲水の勧めにより、4月6日から7月23日までの約4カ月間をこの幻住庵で過ごしました。

ここで、彼は「奥の細道」に次ぐ代表作となる「幻住庵記」を著し、庵の名前は菅沼曲水の伯父である幻住老人(菅沼定知)の名に由来しています。元は曲水の伯父が住んでいた別荘であり、彼の没後に放置されていたものを手直しして芭蕉に提供しました。この場所の自然や静寂を芭蕉は「いとど神さび」と表現し、その趣きは21世紀に入った今でも変わることなく残されています。

復元と現代の幻住庵

現在の幻住庵の建物は、1991年(平成3年)9月に芭蕉の没後300年を記念して行われた「ふるさと吟遊芭蕉の里事業」の一環で復元されました。庵の敷地内には、芭蕉が「たまたま心なる時は谷の清水を汲みてみづから炊ぐ」と記したように、自炊に使用したとされる「とくとくの清水」が今も湧き出しています。この清水の音は、当時と変わらない静けさの中で響き、訪れる人々に芭蕉の時代を思い起こさせます。

芭蕉の詠んだ句

幻住庵で過ごした期間に、芭蕉は次の句を詠んでいます。

「先づ頼む 椎の木も有り 夏木立」

拝観案内

アクセス

公共交通機関

JR琵琶湖線(東海道本線)石山駅および京阪石山坂本線京阪石山駅から京阪バス(国分団地行き)に乗車し、「幻住庵」停留所で下車後、徒歩1分です。

自動車

京滋バイパスの石山ICを下車し、約5分で到着します。駐車場は近津尾神社と共用しています。

備考

現在の幻住庵は、1991年に「ふるさと吟遊芭蕉の里事業」の一環として建て替えられたものであり、現代の訪問者もその静寂と自然の美しさを楽しむことができます。

近津尾神社(ちかつおじんじゃ) - 歴史と文化を紡ぐ神社

祭神

近津尾神社の主祭神は誉田別尊(ほんだわけのみこと)です。この神社は古代から地域を守る鎮守社として信仰されてきました。

歴史

『石山寺記録』中之巻3によれば、近津尾神社は承安3年(1173年)に石山寺の座主であった公祐僧都によって、石山寺の鎮守社として創建されました。この神社は長い歴史を持ち、元禄年間(17世紀後半)には、著名な俳人松尾芭蕉がこの神社の境内に移り住み、幻住庵を営んだことでも知られています。

幻住庵は昭和15年(1940年)に一度再建され、その後、平成3年(1991年)には「ふるさと吟遊芭蕉の里事業」によって再び建て替えられ、現在に至ります。神社の歴史と芭蕉の足跡が融合した場所として、訪れる人々に深い歴史的な魅力を感じさせます。

神紋

近津尾神社の神紋は「左三ッ巴」であり、これは神社のシンボルとして知られています。この神紋は日本の伝統的な家紋であり、神社の歴史と格式を象徴しています。

祭事

毎年5月5日に例祭が行われ、地域の人々や参拝者が集まり、賑やかに神事が執り行われます。この例祭は古くから続く伝統的な行事であり、神社の守護神への感謝の気持ちを捧げる重要な日です。

境内社

近津尾神社の境内には、以下の境内社が鎮座しています。

アクセス

公共交通機関

JR琵琶湖線(東海道本線)石山駅、京阪石山坂本線京阪石山駅から京阪バス(国分団地行き)に乗車し、「幻住庵」停留所で下車。そこから徒歩約4分で神社に到着します。

自動車

京滋バイパス石山ICから車で約5分です。駐車場は幻住庵と共用しており、車で訪れる方にも便利です。

まとめ

幻住庵と近津尾神社は、歴史的な風景と文化を色濃く残した、静寂の中に佇む観光スポットです。松尾芭蕉が過ごした場所としての歴史的価値や、自然の美しさを感じられる幻住庵と、地域を守る鎮守社として長い歴史を誇る近津尾神社は、訪れる人々に古き良き日本の風情を提供しています。アクセスも便利で、歴史や俳句に興味がある方々にとっては、一見の価値がある場所と言えるでしょう。

Information

名称
幻住庵
(げんじゅうあん)

大津・比叡山

滋賀県