皇紀2600年を記念して1940年に建立された、日本で最初の時計である漏刻を採用した天智天皇を祀る神社です。
社殿は近江造りや昭和造りと呼ばれる新しい様式であり、近代神社建築の代表的なものとして国の登録文化財に指定されています。
境内の敷地面積は約6万坪(20万㎡)であり、殿や内外拝殿を回廊が取り囲んでいます。鮮やかな朱色の楼門が目印で、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
天智天皇の古都である近江大津宮跡に位置しており、近江神宮の創建は1940年で、神社としての歴史は比較的新しいですが、滋賀県・近江国の発展は大津宮を首都としたことから始まったとされ、湖国では古くから天智天皇への崇敬が篤く、約1350年の歴史を誇る神社と言えます。
年間50万人以上の参拝客が訪れ、大津を代表する神社となっています。
天智天皇は、藤原鎌足と共に蘇我一族の専横を排除し、大化改新(645年)を実施しました。天智天皇は古代社会の転換期において、大陸からの圧力に直面する中で、偉大な知恵と勇気を持って壮大な建国の理想を実現し、古代国家の基盤を築いた神とされています。
天智天皇が日本で初めて漏刻(水時計)を作ったことに由来し、「時の守護神」とも称されています。
境内には漏刻や日時計などが設置されており、時計館宝物館では和時計をはじめとする古今東西の時計が展示されています。6月10日の「時の記念日」には「漏刻祭」が行われます。
また、小倉百人一首の巻頭歌が天智天皇の詠んだ歌であることから、「かるたの聖地」としても知られており、「かるたの殿堂」とも呼ばれています。お正月の「かるた祭」でも有名です。
映画『ちはやふる』の舞台にもなりました。近江勧学館では「名人位・クイーン位戦」や「全国高等学校かるた選手権大会」が開催され、競技かるたの舞台となっています。
映画『ちはやふる』のロケ地としても知られ、館内には映画関連のキャラクターのパネルなども展示されています。
また、神社の境内には近江勧学館もあり、百人一首競技かるたの名人やクイーン戦が行われる場所です。
さらに、近江神宮の衣裳部では和装の体験レンタルが行われています。着物や袴を手軽に借りることができ、境内で散策や写真撮影を楽しむこともできます。
着付けもバックルやマジックテープを使用して簡単にできるようになっており、着付けに不安のある人はスタッフの手助けを頼むこともできます。また、かるたなりきり体験や模擬十二単の着付け体験も可能です。
近江神宮には多くの歌碑や句碑が設置されており、天智天皇の作品をはじめとして、弘文天皇の漢詩や万葉集の柿本人麻呂や高市黒人の歌、芭蕉の俳句、保田与重郎など、多くの歌人や俳人の作品が刻まれています。
近江神宮を訪れることで、時計とかるたの魅力に触れることができます。時の守護神である天智天皇のご利益を求めて、ぜひ大津を訪れてみてください。
近江神宮漏刻祭
近江神宮の祭神である天智天皇が日本で初めて漏刻を使用して時を計った偉業を称える祭りです。毎年6月10日の「時の記念日」に行われており、この日には時計関係者たちが王朝装束を身にまとい、新製品の時計を奉納します。祭典では舞楽も披露されます。
天智天皇
天智天皇(てんちてんのう、626年 - 672年)は、日本の第38代天皇でした(在位: 668年2月20日 - 672年1月7日)。
日本最古の全国的な戸籍である「庚午年籍」を作成し、公地公民制の基盤を築いていきました。
660年には漏刻(ろうこく、水時計)を作り、671年には大津宮の新台に設置して鐘鼓を打ち、時報を開始しました。この出来事は「時の記念日」として知られています。
天智天皇はまた、万葉集に4首の歌が伝わる万葉歌人でもあります。百人一首でも太祖として敬意を受け、以下の歌が冒頭に載せられています。
「秋の田の かりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ」天智天皇
この詩は、屋根の苫(とま)が荒れており、私の袖が夜露にしっとり濡れてしまったという意味です。
「秋田刈る仮庵を作りわが居れば衣手寒く露そ置きにける」
という詩が万葉集に詠み人知らずと収められています。内容から農民が詠んだ歌で、辛い環境を思いやる心を持つ慈悲深い天皇の心を示す歌として語り継がれてきました。
天智天皇は、日本史上重要な役割を果たした人物であり、その治世における業績は多岐にわたります。
時計館宝物館(近江神宮時計博物館)
日本の時刻制度の発祥地にある時計をテーマにした博物館で、世界中から約2300点の時計を収集しています。
この博物館では約180点の時計が展示されており、その中には江戸時代初期の懐中時計などが含まれています。
さらに、「近江神宮」に奉納された絵画や陶芸なども展示されており、世界各国の時計や関連資料など約3200点の展示も行われています。
この地が日本の時刻制度の発祥地とされる理由は、大津京を築いた天智天皇が「漏刻」と呼ばれる水時計を作ったことに由来します。
博物館の外には「漏刻」や「日時計」、古代の「火時計」なども展示されており、訪れる人々はこれらの古代の時計を見ることができます。
時計館宝物館は、天智天皇が日本で初めて漏刻という時計を設置したことにちなんで、1963年に時計歴史館として開設されました。後に時計博物館という名称も使われましたが、2010年に時計館宝物館としてリニューアルされました。
日本最古の時計である漏刻の復元模型(オメガから寄贈)、中国で使用されていた火時計の復元模型(ロレックス社から寄贈)、そして日時計などが屋外に展示されています。
1階の時計館展示室では、和時計や日本最古の懐中時計など、貴重な実物の時計が展示されています。
また、2階の宝物館展示室では、近江神宮の歴史に関する資料や、曾我蕭白の「紙本墨画淡彩楼閣山水図」(高精度の複製品で、実物は琵琶湖文化館に寄託されています)を含む奉納された絵画や陶芸品などが展示されています。
参拝時間 6:00~18:00
ご祈祷 9:30~16:00
お守り御朱印等 9:00~16:30
時計館宝物館 9:30~16:30
無休
時計館宝物館
大人 300円
小中学生 150円
幼児 無料
京阪電車 近江神宮駅前から徒歩で5分