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小野神社

(おの じんじゃ)

小野神社は、滋賀県大津市小野に鎮座する神社で、式内社に指定されている由緒ある神社です。旧社格は郷社であり、神紋は「三ッ目」。祭神は、小野氏の祖とされる米餅搗大使主命(こめもちつきおおきみのみこと)で、日本の餅作りの祖として崇敬を集めています。このため、例祭「シトギ祭」には全国の菓子業界関係者が参拝に訪れ、餅作りに関する深い歴史と文化がここに受け継がれています。

神社の歴史

小野神社が鎮座するこの地は、古くから小野氏の本拠地とされており、神社の創建年代は不詳ですが、名神大社に指定されています。明治24年(1891年)には郷社に列格され、現在も地域の重要な信仰の場となっています。

『明細書』によれば、神社の創建年代は不詳ですが、社記によると当社は延喜式名神大社であり、御祭神である天足彦国押人命(あまたらしひこくにおしひとのみこと)は、孝昭天皇の第一皇子で、近江国造の祖とされています。また、米餅搗大使主命はその七世の孫であり、古代には「日布礼大使主命(ひふれおおきみのみこと)」と呼ばれていました。応神天皇の時代に日本で初めて餅を作ったことから、餅作りの始祖として特に崇められています。

さらに、推古天皇の時代には、小野朝臣妹子がこの地に住み、氏神としてこの神社を奉祀したと伝えられています。このような歴史を背景に、神社は長い間地域社会と深く結びつき、その伝統と信仰は今も続いています。

神社の祭神

小野神社の主祭神は以下の通りです:

境内の見どころ

小野神社の境内には、多くの歴史的建造物や関連する神社が点在しています。特に以下の社殿や神社が見どころとなっています:

本殿

小野神社の本殿は、神社の中心的な建造物であり、祭神を祀る神聖な場所です。荘厳な雰囲気が漂うこの本殿は、参拝者に静寂と安らぎを与えます。

小野篁神社

境内社である小野篁神社は、平安時代初期の漢学者で詩人、歌人としても名高い小野篁(おののたかむら)を祀っています。暦応3年(1340年)に佐々木六角氏によって建立されたこの社殿は、三間社流造(さんげんしゃながれづくり)という建築様式を採用しており、国の重要文化財に指定されています。

小野道風神社

飛地境内社である小野道風神社は、平安時代の名筆家であり、書道の三蹟(さんせき)の一人である小野道風(おののみちかぜ)を祀っています。この社殿も三間社流造で、興国2年(1341年)に鎮座したと伝えられ、重要文化財に指定されています。

その他の境内社

文化財

小野神社には、歴史的価値の高い文化財が数多く残されています。その中でも特に注目すべきものは、以下の通りです:

国の重要文化財
大津市指定有形文化財

祭事

小野神社では、毎年11月2日に例祭「シトギ祭」が執り行われます。この祭りは、神社の神田で収穫された新穀の餅米を使って行われ、古くから伝わる製法で餅が作られます。祭りの準備は前日から始まり、餅米は水に浸され、そのまま木臼で搗き固められます。この餅は「しとぎ」と呼ばれ、神前に供えられます。

祭典が終わると、神職たちは注連縄を張り巡らせた青竹を手に持ち、小野地区内を巡回します。巡回の際、しとぎを吊るしながら礼拝し、五穀豊穣や天下泰平を祈念します。この独特な祭りは、古来の農耕儀礼と餅作りの技術が結びついたものであり、全国の菓子業界関係者をはじめ、多くの参拝者が訪れます。

まとめ

小野神社は、長い歴史と深い文化を持つ神社であり、滋賀県大津市における重要な信仰の場です。餅作りの祖としての米餅搗大使主命を祭神とし、古くから続くシトギ祭を通じて、日本の伝統的な餅作り文化を現代に伝えています。また、境内には多くの文化財や歴史的建造物があり、訪れる人々に深い感銘を与えています。大津市を訪れる際には、ぜひ小野神社を訪れ、歴史や文化を感じ取ってください。

Information

名称
小野神社
(おの じんじゃ)

大津・比叡山

滋賀県