大津市歴史博物館は、滋賀県大津市にある市立博物館です。地域の歴史と文化を紹介することを目的とした博物館であり、特に「大津絵」をはじめとする地元の芸術や歴史的な資料を展示しています。また、研究活動も行っており、地元の歴史に関する様々なテーマを掘り下げた展示やイベントを開催しています。
大津市歴史博物館は、2階建ての施設で、1階にはエントランスホールや大津歴博情報システムがあり、2階には常設展示室や企画展示室が配置されています。館内では、大津市の歴史と文化をテーマにした展示が行われ、特に地理的特徴に基づいた地域ごとの歴史を掘り下げた展示が特徴です。
この展示では、大津市の南北に細長い地理的特徴を活かし、各地域の歴史と文化を6つのテーマに分けて紹介しています。さらに、年代順に大津市全域の歴史をたどる「歴史年表展示」も行っており、訪問者は大津市の全体像を理解できるようになっています。
1999年度(平成11年度)から、常設展示内の1コーナーを「ミニ企画展」として設定し、博物館の収蔵品や調査成果を基に、年7~8回、約2ヶ月間隔で小規模な展示を行っています。これにより、年間を通じて多様なテーマで来館者を楽しませています。
常設展示室では、大津市の歴史が縄文時代から現代まで紹介されています。大津は約8,000年前の縄文時代から人々が住み始め、特に平安時代以降、交通の要所として発展してきました。そのため、各時代ごとに異なる歴史と文化が生まれ、それが現在の大津の豊かな文化的背景を形作っています。
地域ごとの歴史と文化を6つのテーマに分けて展示しており、次のような内容になっています。
堅田は水運と漁業で栄えた地域であり、比良山麓の村々は自然との共生を軸に発展しました。このエリアでは、地域の独自の文化や生活様式が学べます。
比叡山は、宗教的な中心地として知られ、門前町として発展した坂本を中心に、歴史的な建造物や伝統文化が紹介されています。
大津は港町として、また宿場町としても発展してきました。このエリアでは、大津の商業と交通の発展に関する展示が行われています。
近江八景は、古くからの名勝地として知られており、その美しい風景が多くの絵画や詩に描かれてきました。各地の風景を紹介する展示が行われています。
膳所藩の城下町として栄えた膳所では、江戸時代の城や町並みの復元模型が展示され、当時の生活の様子を知ることができます。
飛鳥時代に天智天皇によって遷都された近江大津宮は、大津の歴史において非常に重要な役割を果たしました。このエリアでは、当時の都の様子が再現されています。
大津市全域の歴史を年代順に紹介する「歴史年表展示」では、次の4つの時代区分に分かれて展示が行われています。
縄文時代の石山貝塚の遺物や弥生時代の土器が展示されており、原始・古代の大津の生活や文化がわかります。
中世では、観音巡礼や室町時代の文化が展示されており、宗教と生活が密接に関わっていたことがわかります。
江戸時代には、交通の要所としての大津の発展が紹介されています。膳所藩の支配や、商業の発展が当時の大津の繁栄を支えていました。
明治期の蒸気船や鉄道の導入、大津事件など、近代の大津の発展が紹介されています。大津は日本の近代化の過程で、交通や政治においても重要な役割を果たしてきました。
2024年1月10日から2025年2月2日まで、特集展示「源氏物語と大津」が開催されます。この特集展示では、源氏物語と大津市の歴史的なつながりを紹介しています。また、この期間中は「膳所六万石」の展示は観覧できませんが、2階の歴史年表展示で膳所城や膳所藩に関する展示が引き続き行われています。
開館時間は9:00から17:00までです。ただし、入館は16:30までとなっています。
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)および年末年始(12月27日~1月5日)が休館日です。
博物館へのアクセスは、京阪石山坂本線の「大津市役所前駅」から徒歩約5分、またはJR湖西線「大津京駅」から徒歩約15分です。博物館は大津市民文化会館の南隣、三井寺境内からは北隣に位置しています。
大津市歴史博物館は、地域の歴史と文化を深く知ることができる貴重な場所です。各テーマに沿った展示や年表展示を通じて、訪問者は大津市の歴史を時代順に学び、また地域ごとの文化的な特徴を楽しむことができます。また、ミニ企画展や特集展示など、年間を通じて様々なテーマで展示が行われているため、何度訪れても新たな発見がある博物館です。大津の歴史に興味を持つ方はもちろん、観光の一環としてもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。