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石山寺

(いしやまでら)

巨石の上に建つ国宝の古寺であり、毎年桜や紅葉のシーズンには大勢の人々で賑わいます。

瀬田川を一望する石山寺は、他に類を見ない寺院で、全体が巨大な硅灰石の岩盤の上に建っています(硅灰石は天然記念物に指定されています)。石山寺の名前もその由来にちなんでいます。

創建は古く、天平19年(747年)の奈良時代後期に遡ります。聖武天皇の勅願によって開基された石山寺は、東寺 真言宗 大本山であり、西国三十三所観音霊場の第十三番札所です。

平安時代には貴族や皇族の間で石山詣が流行し、紫式部が『源氏物語』の構想の着想を得たとも言われています。

『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』などの文学作品にも登場し、近江八景の「石山の秋月」でも知られています。

境内には国宝に指定された滋賀県最古の木造建築物である本堂や、源頼朝が寄進した多宝塔、重要文化財の秘仏・如意輪観音像、入母屋造りの東大門など、歴史的にも貴重な建築物、経典や仏像、絵巻物など文化財が多数残っています。

石山寺は春の桜と秋の紅葉でも有名で、多くの人々に愛される名所です。広大な境内は巨大な岩とは国宝の多宝塔などの建造物との調和が美しく、桜や紅葉の対比はまるで絵画のようです。

桜の見ごろは3月中旬から4月中旬で、ソメイヨシノやシダレザクラ、ヤマザクラなど約600本が美しく咲き誇ります。石山寺は、その歴史と風景の美しさから多くの人々に愛される寺院です。

内陣は平安時代中期の建築であり、外陣は慶長7年(1602年)に淀君が寄進したものです。内陣には本尊の如意輪観世音菩薩が安置されています。

本堂(国宝)

正堂と礼堂をつなぐ複合建築です。本堂は南側の傾斜地に建てられ、礼堂部分が特徴的な懸造となっています。懸造の本堂は、清水寺や長谷寺など、観音菩薩を祀る寺院によく見られます。

現存する本堂は三代目で、奈良時代の初期に建てられたものから改築が重ねられました。桁行は元々五丈、梁間は二丈でしたが、天平宝字5年(761年)から6年(762年)にかけて改築され、桁行は七丈、梁間は四丈に拡大されました。10世紀末までには懸造の礼堂も増築されていたことが絵画資料からわかっています。

しかし、承暦2年(1078年)の火災でこの建物は焼失し、永長元年(1096年)に再建され、慶長7年(1602年)に淀殿の寄進により合の間と礼堂が改築され、現在の形式となりました。正堂は永長元年(1096年)の再建時の姿をよくとどめており、滋賀県内で最も古い建築物として貴重です。

正堂は桁行五間、梁間二間の身舎に一間の庇を巡らせ、全体の正面は七間、奥行きは四間となっています。身舎は内陣となっており、慶長年間(1596年 - 1615年)には新設された宮殿が設けられました。

宮殿内部には如意輪観音が祀られていますが、隆起した硅灰石が本尊の台座として使われています。合の間は幅七間、奥行き一間で、正堂と礼堂をつなげています。内部には天井はありませんが、見上げると正堂の軒が残っています。

合の間の東端は「紫式部源氏の間」と呼ばれ、執筆中の紫式部の像が安置されています。礼堂は幅七間、奥行き三間の身舎で、合の間と接する北側以外の三方に庇を巡らせ、全体の正面は九間、奥行きは四間となっています。東側一間は吹きさらしの状態です。

屋根は檜皮葺きで、正堂と礼堂はそれぞれ寄棟造とし、南北に大屋根をかけ、南端は礼堂の上部で千鳥破風となっています。本堂の正面は南向きですが、南面は懸造になっているため、参拝者は東面の階段を登り、礼堂の縁を回って入ることになります。

多宝塔(国宝)

石山寺が源義平を平清盛から匿ったお礼として、源頼朝が寄進したと伝えられています。墨書から建久5年(1194年)に建てられたことが分かっており、日本で最も古い多宝塔です。

均整のとれた優美な建築物で、内部の柱や天井には仏像や草花などが描かれています。

下層は方形で、内部には須弥壇があり、そこには快慶作の大日如来像(重要文化財)が安置されています。柱や長押には仏画や彩色が施されています。上層は12本の円柱で構成され、四手先組物が配置され、深い軒がかかっています。屋根は檜皮で葺かれています。

月見亭

石山寺のシンボルとなっている月見亭は、瀬田川の清流を見下ろす高台にあり、後白河天皇をはじめとする歴代の天皇が玉座として使用していました。

石山寺の尾根の東端に位置していて、この亭からは瀬田川や琵琶湖を望むことができ、特にここから見る月は「近江八景 石山の秋月」として有名です。

寺伝によれば、保元年間(1156年 - 1158年)に後白河天皇が行幸した際に建立されたと伝えられています。現存する月見亭は貞享4年(1687年)に再建されました。

建物は桁行一間、梁間一間で、東西方向にやや長い平面を持っています。東側には正方形の舞台があり、床が上がっています。

建具などはなく、吹きさらしの状態です。構造は懸造となっていますが、袴腰があるため明確ではありません。屋根は寄棟造で、上部は茅葺き、下部は杮葺きでしたが、2017年(平成29年)に茅葺きが板葺きに改修されました。

豊浄殿

多宝塔の北西に位置する石山寺最高地点にある宝物館です。春と秋に開催される「石山寺と紫式部」展では、石山寺に伝わる宝物や紫式部・源氏物語に関連した展示が行われます。

石山寺は、滋賀県大津市石山寺に位置する東寺真言宗の大本山です。寺の山号は石光山で、本尊は如意輪観世音菩薩です。また、西国三十三所霊場の第13番札所でもあります。

2015年4月24日には、「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」の一部として日本遺産に認定されました。

当寺は琵琶湖の南端に位置し、瀬田川の右岸から湖を望む風光明媚な場所にあります。寺の本堂は天然記念物に指定されている巨大な珪灰石の上に建てられており、この珪灰石が寺の名前の由来となっています(石山寺珪灰石は日本の地質百選にも選定されています)。

石山寺は文学作品にも登場し、『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』などにも言及されています。また、『源氏物語』の作者である紫式部は、石山寺での参拝中に物語のアイデアを得たという伝承もあります。

石山寺は「近江八景」の1つである「石山の秋月」としても知られており、紅葉の名所としても人気があります。

毎年秋にはライトアップイベントも開催され、2015年には日本夜景遺産にも認定されました。また、洋画家の三谷祐幸が寄付した関西美術院も石山寺が所有しています。

歴史

歴史は古く、天平19年(747年)に聖武天皇の発願により、良弁(東大寺の開山・別当)によって創建されました。

伝説によれば、聖武天皇は東大寺の大仏造立の際に大量の黄金を必要とし、吉野の金峯山に祈りを捧げるよう命じました。しかし、夢の中で金峯山の黄金は将来の弥勒菩薩が地を黄金で覆うために用いるものであり、近江国の湖水の南に聖なる地があると告げられました。

その後、良弁は石山の地を訪れ、巨大な岩の上に聖徳太子の如意輪観音像を安置し、草庵を建てました。この草庵を覆う堂が石山寺の始まりです。

その後、天平宝字5年(761年)からは国家的事業として堂宇の拡張や伽藍の整備が行われ、多くの仏師が派遣されました。平安時代前期には真言宗の寺院となり、石山寺の密教化が進んでいきました。

また、菅原道真の孫である淳祐内供(寛平2年〈890年〉 - 天暦7年〈953年〉)が中興の祖として知られています。彼は学業に励み、膨大な著述を残しました。彼の自筆本は「匂いの聖教(においのしょうぎょう)」と呼ばれ、現在でも多数が石山寺に残されています。

戦国時代には一時的に石山寺が被害を受けましたが、信長の死後には豊臣秀吉によっていくつかの寺領が返還され、慶長年間には淀殿によって石山寺の復興が行われました。

幸いにも石山寺は兵火に遭わず、建造物や仏像、経典、文書など多くの貴重な文化財を保持しています。

石山寺の歴史は古く、その創建から現在まで多くの信仰と歴史が息づいています。

文学作品

石山寺は、多くの文学作品に登場し、その存在が広く知られています。

清少納言の『枕草子』には、「石山」の名が挙げられ、藤原道綱母の『蜻蛉日記』や菅原孝標女の『更級日記』でも石山寺の参拝や滞在が描かれています。

特に、紫式部が『源氏物語』の着想を得た場所として知られています。伝承によれば、紫式部が石山寺を訪れた際に、八月十五夜の名月の晩に「須磨」「明石」の巻のアイデアを得たとされています。石山寺の本堂には、「紫式部の間」という特別な場所が設けられています。

また、和泉式部の『和泉式部日記』でも、「石山に詣でて」という表現があります。この作品では、和泉式部が敦道親王との関係に悩み、心の慰めを求めて石山寺に籠る様子が描かれています。

境内

境内には以下の建物や施設があります。

石山寺の境内は広く、歴史や文化を感じる建物や美しい庭園が点在しています。

Information

名称
石山寺
(いしやまでら)
リンク
公式サイト
住所
滋賀県大津市石山寺1-1-1
電話番号
077-537-0013
営業時間

8:00~16:30(最終入山 16:00)

定休日

無休

料金

大本山 石山寺 入山料
一般(中学生以上)600円
小学生 250円

本堂内陣 拝観料
一般(中学生以上)500円
小学生 250円

駐車場
有料 120台
アクセス

公共交通機関:
京阪電鉄/石山坂本線 「石山寺」 下車 徒歩 10分
JR琵琶湖線 「石山」 下車 バス 10分 石山寺山門前

車:名神 瀬田東IC・瀬田西ICから車で10分

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