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坂本(大津市)

(さかもと)

坂本は、滋賀県大津市に位置する町名および地区名です。この地域は、古くから比叡山延暦寺や日吉大社の門前町として栄えてきました。現在では坂本一丁目から坂本八丁目までが行政区として設置されており、広義の坂本には、町名変更前の坂本本町や隣接する下阪本も含まれます。坂本はその歴史的背景や独特の町並みで知られ、観光地としても高い評価を受けています。

坂本の歴史的背景

門前町としての栄え

坂本は、日吉大社や延暦寺の門前町として、その歴史を築いてきました。比叡山の僧侶が住む「里坊」が点在し、坂本の街路には「穴太衆積み」と呼ばれる独特の石垣が並びます。これらの石垣は、街の歴史的景観を際立たせ、観光客に人気です。

戦国時代の歴史

坂本は、戦国時代にもその歴史に深く関わっています。室町幕府12代将軍足利義晴や13代将軍足利義輝がこの地に逃れ、後に朽木村へ移動しました。また、安土桃山時代には明智光秀によって坂本城が築かれましたが、本能寺の変後、明智秀満が城に火を放ち、その歴史は短命に終わりました。

江戸時代の銅銭鋳造

坂本では江戸時代初期に銅銭の鋳造が行われ、特に「京銭」が坂本から中国や東南アジアに輸出されていました。この銭は「サカモト」という通称でオランダ商人にも知られ、世界に広がりました。江戸幕府もこの地に銭座を設け、寛永通宝を発行する拠点としました。

現在の坂本の町並み

伝統的建造物群保存地区

坂本の町並みは、重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、その種別は「里坊群」「門前町」として顕著な地域的特色を示しています。保存地区としての坂本は、広さ28.7ヘクタールに及び、街並みの保護と保存が行われています。この地域の保存は1997年に決定され、坂本の歴史的な風土が守られています。

坂本の名所

坂本には、日吉大社や延暦寺里坊庭園など多くの歴史的名所があります。特に日吉大社は、国宝に指定された建造物が2棟、重要文化財に指定された建造物が17棟あり、その歴史的価値が高く評価されています。また、延暦寺の本坊である滋賀院門跡庭園や、慈眼堂、日吉東照宮などの文化財も多数存在し、観光客にとって見逃せないスポットとなっています。

坂本の沿革

町村制施行と坂本村の発足

坂本の行政区としての歴史は、1889年(明治22年)の町村制施行に始まります。このとき、滋賀郡坂本村と穴太村が合併して坂本村が誕生しました。坂本村は、坂本村大字坂本としてその地位を固めました。

坂本村の大津市編入と住居表示施行

1951年(昭和26年)には、坂本村が大津市に編入合併され、坂本村は廃止されました。その後、1988年(昭和63年)には住居表示の実施により、坂本本町から坂本一丁目から八丁目が誕生しました。このような行政の変遷を経て、現在の坂本の町並みが形成されています。

坂本の名所・旧跡

日吉大社

日吉大社は、国の史跡として指定されており、境内には国宝や重要文化財が多数存在します。特に、国宝に指定された建造物や重要文化財の建造物が観光客にとって大きな魅力となっています。

延暦寺坂本里坊庭園

延暦寺の里坊庭園も、国の名勝に指定されており、美しい庭園景観が広がります。この庭園は、比叡山の自然と調和した美しさで知られ、季節ごとの風景が訪れる人々を魅了します。

その他の名所

坂本には他にも多くの庭園や名所があります。雙厳院庭園、宝積院庭園、滋賀院門跡庭園、佛乗院庭園、旧白毫院庭園、旧竹林院庭園など、これらの場所も坂本の歴史を感じられる貴重な場所です。慈眼堂や日吉東照宮などの文化財も坂本の歴史と深く結びついており、観光客に人気です。

坂本の交通アクセス

鉄道によるアクセス

坂本へはJR西日本湖西線の比叡山坂本駅や、京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅、松ノ馬場駅を利用することができます。また、比叡山鉄道の坂本ケーブルを使って比叡山にアクセスすることも可能です。

道路によるアクセス

車でのアクセスも便利で、国道161号や琵琶湖西縦貫道路(西大津バイパス、湖西道路)を利用することができます。これにより、周辺の観光地への移動も容易です。

まとめ

滋賀県大津市の坂本地区は、比叡山延暦寺や日吉大社に近接する歴史的な門前町であり、その町並みや文化財が現在でも多く残っています。歴史的な背景や文化的な景観が評価され、多くの観光客が訪れるこの地域は、今後もその魅力を保ちながら発展を続けるでしょう。坂本を訪れることで、古代から現代に至るまでの日本の歴史を感じることができるでしょう。

Information

名称
坂本(大津市)
(さかもと)

大津・比叡山

滋賀県