御池岳は、滋賀県東近江市に位置する鈴鹿国定公園内の山で、標高は1,247メートルです。山の北東面は三重県いなべ市との境界にあり、鈴鹿山脈および東近江市の最高峰です。
この山は古生層の石灰岩で構成されており、藤原岳とともに鈴鹿山脈北部の石灰岩地帯に位置しています。山頂部は「テーブルランド」と呼ばれ、南北約3キロメートル、東西数百メートルにわたる広い平坦な形状が特徴です。
山頂部には多くのドリーネ(石灰岩地帯特有のくぼ地)に水が溜まり、小さな池が点在しています。最大の池は「元池」で、日本庭園の近くにあり、その南東には「真ノ池」があります。また、山頂の西端には「ボタンブチ」と「天狗の鼻」と呼ばれる崖の上の展望地があります。ここからは、鈴鹿山脈のほとんどの山々や遠く伊吹山、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスなどの絶景を望むことができます。
御池岳は「東近江市八景」および「関西百名山」の一つに選定され、地元では雨乞いの神事が行われていることでも知られています。
冬季には西側が琵琶湖に面しているため、日本海側の気候の影響を受け、積雪や樹氷が見られることがあります。その他の季節には伊勢湾に近いことから太平洋側の気候となります。登山口のある国道306号の鞍掛トンネル周辺は、冬季には積雪のため閉鎖されます。
御池岳周辺では、石灰岩地帯特有の植物が多く見られ、春先にはアケボノソウ、イワカガミ、エンレイソウ、カタクリなどの花が咲きます。また、イヌワシやニホンカモシカといった動物も生息しており、御池岳は鳥獣保護区に指定されています。
山頂部では、多くのドリーネやカレンフェルト(石灰岩が風化した地形)が見られるカルスト地形が広がり、ここにはさまざまな植物が自生しています。特に、オオイタヤメイゲツ(学名:Acer shirasawanum Koidz.)の群生が見られ、その美しさから『21世紀に残したい日本の自然100選』にも選ばれています。
御池岳への登山ルートはいくつかあり、最も一般的なルートは三重県側の国道306号コグルミ谷からの登山道です。山頂部へは比較的短時間で到達できますが、他にもいくつかのルートが開設されています。
これらのルートの中でも、コグルミ谷からのルートは春先に多くの花が咲き誇り、登山者に人気があります。
御池岳の山頂からは、鈴鹿山脈の他の山々や琵琶湖、遠くには伊吹山や御嶽山などを望むことができます。特に「ボタンブチ」や「天狗の鼻」からの展望は素晴らしく、澄んだ日には遠くの山々まで見渡せます。
山頂部には、多くの小さな池が点在しています。これらの池は、ドリーネに水が溜まったもので、元池や真ノ池をはじめとする池が見られます。また、鈴北岳との鞍部にある平坦地は「日本庭園」と呼ばれており、苔や草が一面に広がる風景が特徴です。
御池岳へのアクセスは、主に国道306号を利用します。滋賀県道34号多賀永源寺線が御池川沿いに通り、東近江市君ヶ畑町から山頂の西側の上流部まで御池林道が続いています。
最寄りの鉄道駅は、三岐鉄道三岐線の西藤原駅で、御池岳の西側約5.9キロメートルの位置にあります。また、近江鉄道多賀線の多賀大社前駅や、名神高速道路彦根インターチェンジからもアクセス可能です。