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弘徳山 龍潭寺(だるま寺)

(りょうたんじ)

龍潭寺は、滋賀県彦根市にある臨済宗妙心寺派の寺院で、山号は弘徳山、本尊は釈迦如来です。その歴史や庭園、文化財が有名であり、「だるま寺」や「庭の寺」とも呼ばれています。歴史的背景や美しい庭園、そして毎年行われる「だるま祭り」など、多くの見どころを持つ寺院です。

龍潭寺の歴史

起源と建立の経緯

龍潭寺は、天平5年(733年)に行基によって遠江国(現・静岡県浜松市浜名区引佐町)で開かれたと伝えられています。その後、平安時代中期に井伊共保がこの地に葬られたことから、井伊氏の菩提寺となりました。臨済宗妙心寺派の寺院としての形態が整ったのは、室町時代末期の井伊直平の時代とされています。

彦根への移転

龍潭寺が現在の彦根に移されたのは、慶長5年(1600年)に井伊直政が佐和山城へ転封された際です。この時、龍潭寺の五世である昊天宗建禅師を招き、遠江国から分寺して彦根に寺院を建立しました。これが現在の龍潭寺の始まりです。

井伊家との深い関わり

龍潭寺は、井伊家との深い関わりを持つ寺院であり、井伊直孝が小田原藩主大久保忠隣を預かった場所でもあります。忠隣は龍潭寺に滞在し、その後の生涯をこの寺で過ごしました。また、当時の禅宗寺院の中には、造園を学ぶ学生が集まる園頭科(えんずか)があり、ここで造園を学んだ生徒たちが手がけた庭園も残っています。

龍潭寺の庭園

方丈南庭「ふだらくの庭」

龍潭寺の最大の見どころの一つは、佐和山を借景にした方丈南庭「ふだらくの庭」です。この庭園は、枯山水様式で設計されており、龍潭寺の開山である昊天宗建が手がけました。石や砂を使い、自然の風景を抽象的に表現した美しい庭園です。

書院東庭「蓬莱池泉庭」

書院東庭には「蓬莱池泉庭」があります。こちらは池泉鑑賞式庭園で、池や岩、植物が巧みに配置され、訪れる人々が庭園を楽しみながら散策できるよう設計されています。この庭も昊天宗建が手がけたもので、彦根市指定名勝にも指定されています。

書院北庭「露地庭」

さらに、書院の北側には「露地庭」があり、簡素でありながらも洗練された美しさを持つ庭園です。この庭も、龍潭寺を訪れる人々に静寂と癒しを提供します。

文化財と建造物

方丈

龍潭寺の方丈は元和3年(1617年)に建立され、内部には多くの「だるま」が祀られています。この方丈には、かつて佐和山城にあったとされる襖が残されており、歴史的な価値が高い建物です。

飄々庵(ひょうひょうあん)

茶室「飄々庵」は、小堀遠州や井伊直弼が茶を楽しんだ場所として知られています。飄々庵は佐和山城の城門を利用して建てられたとされ、その歴史的な背景と共に、茶室としての趣深い雰囲気を楽しむことができます。

井伊家にまつわる墓

龍潭寺の境内には、井伊直弼の母である君田富(彦根御前)の墓や、井伊直弼の側室・里和の文塚が存在し、井伊家の歴史に触れることができる場所です。

毎年行われる「だるま祭り」

龍潭寺では、毎年4月1日と2日に「だるま祭り」が開催されます。この祭りでは、境内に多くのだるまが奉納され、多くの参拝者が訪れます。祭りは、だるまを祀る寺としての龍潭寺の象徴的な行事であり、地域住民や観光客に親しまれています。

文化財

方丈襖絵

龍潭寺には、江戸時代の俳人で蕉門十哲の一人である森川許六によるとされる方丈襖絵56面が保存されています。これらの襖絵は、芸術的価値が高く、彦根市指定の有形文化財として登録されています。

蓬莱池泉庭

書院東庭の「蓬莱池泉庭」は、その美しさと歴史的価値から、彦根市指定の名勝に指定されています。静かで美しい池泉庭は、訪れる人々に深い感動を与えています。

交通アクセス

龍潭寺へは、JR琵琶湖線(東海道本線)や近江鉄道本線(彦根・多賀大社線)の彦根駅からアクセス可能です。湖国バス(城北・大藪線)を利用し、「彦根グリーンハイツ」停留所で下車し、徒歩10分の距離にあります。彦根駅から徒歩25分でもアクセス可能です。

まとめ

龍潭寺は、その歴史的背景、井伊家との関わり、美しい庭園、そして文化財によって、多くの人々に愛されている寺院です。彦根市を訪れる際には、この美しい寺院を訪れ、その歴史や庭園を楽しんでください。特に「だるま祭り」や、季節ごとに異なる庭園の風景は、訪れる人々に深い印象を残すことでしょう。

Information

名称
弘徳山 龍潭寺(だるま寺)
(りょうたんじ)

彦根・近江八幡

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