山門水源の森は、かつて「上の荘の森」として知られていた滋賀県長浜市西浅井町山門に位置する森林です。この森は琵琶湖の北にあり、琵琶湖の重要な水源の一つである大浦川が流れ出す場所としても知られています。標高は登山口の226メートルから、頂上部の守護岩で520メートルまでで、その差は約294メートルです。
また、山門水源の森には広大な湿地があり、自然豊かな環境が特徴です。ここは「水源の森百選」や「日本の重要湿地500」にも選定され、2017年にはネーミングライツにより「奥びわ湖・山門水源の森」という名称が付けられました。
山門水源の森の歴史は約4万年前に遡り、この時期に発生した断層によって森や湿原が形成されたと考えられています。その後、人々は森の木を薪炭として利用し、約30年ごとに植林を繰り返していました。この森は、山門、中、庄の3つの集落の共有林として管理されてきましたが、20世紀後半に薪炭の需要が減少し、森の整備が停止しました。
1990年代にはゴルフ場建設の計画も持ち上がりましたが、実現には至らず、1995年には「上の荘の森」として林野庁から「水源の森百選」に指定されました。その後、1996年には滋賀県の県有林として約63.5ヘクタールの面積が保護されています。さらに、山門水源の森の湿地は「日本の重要湿地500」にも指定されています。
山門水源の森には、滋賀県内最大の湿原が広がっています。この湿原の総面積は約5.6ヘクタールで、滋賀県によって「山門湿原ミツガシワ等生育地保護区」に指定されています。湿原では、ミツガシワやカスミザクラ、ハッチョウトンボなど、貴重な動植物を見ることができ、四季折々の美しい景観が楽しめます。
山門水源の森では、自然を満喫できるハイキングコースが整備されています。以下の3つのコースがあります。
約2.5kmのコースで、所要時間は約1時間です。このコースは、湿原を中心に散策する手軽なコースで、湿原の魅力をじっくりと楽しむことができます。
約3.5kmのコースで、所要時間は約3時間です。四季折々の自然を楽しむことができ、春には桜、夏には新緑、秋には紅葉が美しく彩られます。
約4kmのコースで、所要時間は約3.5時間です。湿原とともに、ブナの森の中を歩くコースで、自然観察や森林浴に最適です。
また、ボランティアによる有料のガイドツアーも実施されています。専門のガイドが案内することで、山門水源の森の自然や歴史についてより深く理解することができます。
山門水源の森では、次の世代に自然を引き継ぐための活動が行われています。2001年4月からは「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」が組織され、県内外のボランティアが森の環境保護に努めています。
山門水源の森の入場は無料ですが、環境保護のために200円の協力金が推奨されています。冬季の積雪時を除き、一年を通じて訪れることができます。
山門水源の森を訪れる際は、登山に適した服装での訪問がおすすめです。湿地や森林を散策するため、しっかりとした靴や雨具などの装備も忘れずに持参してください。
約3万年の歴史を誇る山門水源の森は、貴重な動植物や歴史ある湿原が広がる自然の宝庫です。春にはカスミザクラが咲き誇り、夏は新緑が美しく、秋には紅葉が見どころとなります。ハイキングや自然観察を楽しむには、ぜひ訪れてみてください。