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真宗大谷派 長浜別院 大通寺

(しんしゅう おおたには ながはま べついん だいつうじ)

真宗大谷派長浜別院大通寺は、滋賀県長浜市に位置する仏教寺院です。この寺院は真宗大谷派の別院であり、京都にある真宗本廟(東本願寺)を本山としています。本尊は阿弥陀如来で、山号は「無礙智山」(むげちざん)と称されています。地元の人々からは「長浜御坊」や「御坊さん」(ごぼうさん)と呼ばれ、親しまれています。

歴史と沿革

大通寺の起源は、湖北地方における仏教の中心道場であった「総坊」(そうぼう)にまで遡ります。慶長7年(1602年)には、徳川家康により本願寺の分立が許され、本願寺第十二代教如が開基となり、長浜城跡にこの寺が創建されました。その後、内藤信成が慶長11年(1606年)に長浜に移封された際に、現在の場所に寺院が移されました。

建築と文化財

大通寺は、歴史的にも建築的にも非常に価値のある寺院です。寺内には、江戸時代初期に建立された本堂や大広間など、多くの重要文化財が存在します。また、伏見城の遺構を基にした建築物として知られており、特に本堂や大広間は国の重要文化財に指定されています。寺院の庭園としても、含山軒庭園や蘭亭庭園といった名勝があり、それぞれ江戸時代に築造されました。

含山軒庭園

含山軒庭園は江戸時代初期に築造された観賞式枯山水庭園で、書院含山軒の前庭として設けられました。伊吹山を借景とした造りで、東方の山々が庭園の風景に溶け込みます。そのため、「含山軒」と名付けられ、静寂の中に自然の美を表現しています。

蘭亭庭園

蘭亭庭園は江戸時代に造られた観賞式池泉庭園です。書院蘭亭にある「蘭亭曲水の宴」の障壁画が、庭園の景観として再現されています。水が流れる池を中心に、美しい自然の風景を楽しむことができます。

重要文化財(国指定)

大通寺には、江戸時代初期の建築物や貴重な文化財が多く保存されています。

本堂(阿弥陀堂)

本堂(阿弥陀堂)は江戸初期に建立され、入母屋造の本瓦葺きです。寺伝によると、元々は伏見城の殿舎であり、徳川家康が東本願寺に贈ったものを承応年間(1652年〜1654年)に移築したと伝えられています。荘厳で美しい阿弥陀堂は、訪れる人々を静かに迎え入れます。

大広間(附玄関)

大広間も江戸初期に建立され、書院造りで、東本願寺から移築されたものです。玄関は、江戸中期の宝暦10年(1760年)に当寺の住職の内室が建立したもので、祖師聖人500年忌を記念しています。大広間と玄関は、歴史と格式が漂う貴重な建築物です。

客殿(含山軒および蘭亭)

客殿には、含山軒と蘭亭の2つの書院が含まれています。一の間には狩野山楽の山水画、二の間には狩野山雪の山水画が飾られています。また、蘭亭には円山応挙の襖絵「蘭亭曲水宴図」があり、優雅な雰囲気が漂います。

県指定文化財

梵鐘

梵鐘は、もともと若狭国多太寺のもので、貞治2年(1363年)の銘があります。長い歴史を刻んだこの梵鐘は、浄土仏摂受経と共に大切に保管されています。

称賛浄土仏摂受経

称賛浄土仏摂受経は奈良時代のもので、浄土信仰の歴史を感じさせる貴重な経典です。

市指定文化財

新御座

新御座は、大正元年に建立されたもので、歴史的な価値が高く、現在もその美しさが保たれています。

山門

山門は1840年(天保11年)ごろに完成し、建設には33年がかかったとされています。入母屋造で三間三戸からなる構造で、当時の職人たちの技術が結集されています。

脇門(台所門)

脇門は、元は長浜城の追手門でした。門扉には本能寺の変に関連して京極軍が放った矢や銃弾の痕跡が残り、扉金具の裏には天正16年(1588年)の銘が記されています。歴史的な逸話が残るこの門は、多くの観光客が興味を持つ場所です。

庫裡(くり)

庫裡は江戸時代の天和2年に建てられたもので、僧侶たちが生活し、修行する場として使用されています。

鐘楼

鐘楼は江戸時代の延宝3年に建立され、太鼓楼と共に寺院の一部として風格を保っています。

太鼓楼

太鼓楼は19世紀前期に建てられ、鐘楼と並んで寺院の景観に調和しています。

渡廊

渡廊は18世紀後期に設けられた通路で、本堂や大広間といった主要な建物をつなぐ役割を果たしています。

宝蔵

宝蔵は江戸時代の明和2年に建てられ、寺院の宝物や貴重な文化財を保管する場所です。

金地墨画梅之図十二面(岸駒筆)

金地墨画梅之図は、岸駒が描いた12枚の墨画で、紙本墨画花鳥及び山水図張付六曲屏風として見応えがあります。美しい自然の景観を表現したこの絵画は、多くの来訪者の目を引きます。

旧学問所庭園

旧学問所庭園は、江戸時代に築造された枯山水庭園で、学問所としての役割を持つと同時に、美しい庭園としても楽しむことができます。

催事と見どころ

大通寺では、季節ごとに様々な催事が行われ、多くの人々が訪れます。

馬酔木展

2月10日から4月18日にかけて行われる馬酔木展では、美しい馬酔木の花々が境内を彩り、訪れる人々に春の訪れを告げます。

きもの大園遊会

10月16日には、きもの大園遊会が開催され、日本の伝統的な着物文化を感じることができます。多くの人々が着物を着て集まり、華やかなひとときを過ごします。

アクセス

真宗大谷派長浜別院大通寺は、滋賀県長浜市元浜町32-9に位置しています。JR西日本の北陸本線「長浜駅」から徒歩約10分と、アクセスも良好です。観光客にとっても訪れやすい立地にあり、歴史的な建造物や美しい庭園を楽しむことができます。

まとめ

真宗大谷派長浜別院大通寺は、歴史的な価値を持つ建築物や庭園を有する、滋賀県長浜市を代表する仏教寺院です。伏見城の遺構を基にした本堂や大広間、狩野派や円山応挙の障壁画など、貴重な文化財が数多く存在し、歴史愛好者や美術ファンにとっても見どころ満載です。また、庭園の美しい景観や季節ごとの催事も楽しめるため、多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。

Information

名称
真宗大谷派 長浜別院 大通寺
(しんしゅう おおたには ながはま べついん だいつうじ)

長浜・米原

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