坂田神明宮は、滋賀県米原市宇賀野に位置する由緒ある神社です。この神社は元伊勢の伝承地であり、坂田宮(内宮)と岡神社(外宮)の二社で構成されています。古くから「坂田大神宮」とも称され、地域に深い信仰を持つ場所です。
坂田神明宮は内宮に天照皇大神、外宮に豊受毘売命を祀っており、神紋として「丸に橘」を使用しています。近隣の総社として信仰を集めてきたこの神社は、かつて坂田郡の総社であり、古代からの神道に基づく伝承が今も息づいています。
坂田神明宮の起源は、伊勢神道の伝承に基づき、神社の歴史は非常に古いものです。『倭姫命世記』によると、天皇の命を受けて天照大神の鎮座地を求めた倭姫命が垂仁天皇8年にこの地に遷り、2年間奉斎したと伝えられています。この伝承に基づき、坂田宮は「元伊勢」とも呼ばれるようになりました。
この地域には伊勢神宮の御厨であった坂田御厨が置かれており、その起源は倭姫命が当地に訪れた際に献上された神田に由来するとされています。また、岡神社は「岡天王社」や「若宮」と称されており、古代の社伝には、宇賀野魂命が降臨した際に始まった神社とされています。
坂田神明宮は、建武の兵乱をはじめ、応仁の乱など多くの兵火に見舞われました。再建は佐々木秀綱により行われ、その後、享保18年(1733年)に井伊直惟の支援を受けて再興されました。これにより社頭が整備され、以降、坂田神明宮として彦根藩から厚い保護を受けました。
明治14年(1881年)には郷社に列し、その後も昇格を重ね、昭和20年(1945年)に県社として認定されました。現在もこの神社は地域の守り神として、多くの人々の信仰を集め続けています。
坂田神明宮の境内には、北陸本線が通過しており、参道には踏切が設けられています。これは珍しい構造であり、鉄道と神社が共存する風景が見られます。同じように参道を鉄道が横切る神社として、他にも遍照院(神奈川県横浜市)、下原八幡神社(岐阜県下呂市)、石引神社(岐阜県大垣市)などが存在します。
坂田神明宮には、内宮・外宮に倣った別宮や社が祀られています。
伊勢神宮内宮の七別宮に倣って祀られた社です。
伊勢神宮外宮の四別宮に倣って祀られた社です。
倭姫命の徳を偲び祀られた社で、坂田神明宮の創建伝承に深く関わっています。
坂田神明宮の境外社として、宇賀野神社が存在します。この神社も坂田神明宮の関連社として地域の人々に信仰されています。
坂田神明宮には、後陽成天皇による「天照皇大神」の神号掛軸があり、これは国の重要美術品として認定されています。この貴重な掛軸は、歴史的な価値が高く、訪れる人々にとっても見どころの一つです。
毎年5月1日に行われる例祭は、坂田神明宮にとって最大の行事です。この日には、地元の人々が集まり、様々な奉納行事が執り行われ、地域の伝統文化が色濃く反映される祭りが展開されます。
北陸本線の坂田駅が最寄り駅で、駅から歩いて神社へアクセスできます。鉄道を利用することで気軽に訪れることができ、観光客にも便利な立地です。
坂田神明宮は、北陸本線沿線に位置しているため、電車の利用が便利です。さらに、車で訪れる際には、米原市内からのアクセスも容易で、神社付近には駐車場も完備されています。
坂田神明宮の周辺には、彦根城や米原市の自然豊かな観光スポットも多く、観光と参拝を兼ねた訪問が可能です。また、米原市内には歴史的な神社や寺院も多く、訪れる人々にとって魅力的な観光地が広がっています。
坂田神明宮は、元伊勢の伝承地であると同時に、歴史と文化が交差する神聖な場所です。豊かな伝統に基づいた祭事や重要文化財の存在など、訪れる人々に日本の神道文化を体感させる魅力があります。ぜひ米原市に足を運び、坂田神明宮を参拝し、地域の歴史と信仰の息吹を感じてみてください。