徳源院は、滋賀県米原市清滝に位置する天台宗の寺院です。山号は霊通山であり、本尊は聖観世音菩薩です。寺号として清瀧寺とも呼ばれ、京極氏の菩提寺として知られています。境内には、京極家の墓所があり、その歴史的な価値から国の史跡に指定されています。
徳源院は、鎌倉時代の弘安9年(1286年)、京極氏の初代当主である京極氏信によって創建されました。この寺院は、柏原城の跡地に建立され、当初は「清瀧寺」と呼ばれていました。寺名は、京極氏信の法号「清瀧寺殿」に由来しており、氏信の死後、その菩提寺とされました。
戦国時代に京極氏が没落すると、徳源院も荒廃してしまいました。しかし、江戸時代の寛文12年(1672年)、讃岐国丸亀藩主の京極高豊は、播磨国の所領を交換し、当地を手に入れました。高豊は徳源院を再興し、三重塔(滋賀県指定有形文化財)を寄進しました。この際、寺院の名称を父・京極高和の法名に基づき「徳源院」と改めました。
京極高豊は、周辺に散在していた中世京極氏の歴代の宝篋印塔を、現在の京極家墓所の上段に集めました。また、下段には京極高次の石製霊屋を中心に、丸亀藩主と多度津藩主の墓所を整備しました。この京極家墓所は、1976年から1977年にかけて修復が行われ、当初の瓦葺から杮葺に戻されています。
徳源院の境内にある京極家墓所は、京極氏の歴代当主が祀られている場所です。18基の宝篋印塔が整然と並んでおり、国の史跡に指定されています。特に、京極高次の石製霊屋は、中興の祖として重要視されています。
徳源院の庭園は、小堀遠州が作庭したとされる池泉回遊式庭園です。この庭園は、四季折々の美しい景観を楽しむことができ、滋賀県の指定名勝となっています。庭園内の池には、カモや鯉が泳ぎ、自然の風情が感じられます。
三重塔は、寛文12年(1672年)に京極高豊によって建立されたもので、滋賀県の有形文化財に指定されています。1976年から1977年の修復で、創建当初の杮葺の屋根に戻され、その美しい姿が再現されています。
境内には、佐々木道誉(京極高氏)が愛したと伝えられる「道誉桜」があります。このしだれ桜は、米原市の天然記念物に指定されています。現在の桜は2代目と3代目であり、春には美しい花を咲かせ、多くの観光客が訪れます。
徳源院は、JR東海道本線の柏原駅から徒歩約29分の場所にあります。静かな山間に位置しており、寺院周辺には清らかな空気と美しい自然が広がっています。参拝や庭園の散策を楽しむために、多くの観光客が訪れます。
徳源院の北には、清滝神社があり、地元の人々から信仰を集めています。この神社は、徳源院と深い関わりがあり、合わせて訪れることで、地域の歴史や文化をより深く理解することができます。
徳源院は、びわ湖百八霊場の第49番札所に指定されています。この霊場巡りは、滋賀県内の仏教寺院を巡る巡礼コースで、多くの参拝者が徳源院を訪れています。
徳源院は、京極氏の菩提寺として、代々の当主がここに祀られています。特に有名な当主には、以下の人物が含まれます。
静かで美しい徳源院を訪れ、その歴史と自然に触れることで、滋賀県米原市の文化と伝統を深く理解することができるでしょう。