三島池は滋賀県米原市池下に位置する、美しい自然に囲まれた貯水池です。姉川からの伏流水を利用し、灌漑用として長い歴史の中で使用されてきました。また「比夜叉池」の別名でも知られ、2010年には農林水産省のため池百選に選定され、「滋賀のため池50選」にも名を連ねています。
三島池の築造年は不明とされていますが、1200年（正治2年）頃には既に存在していたとされ、現在も米原市の農地20ヘクタールを潤す重要な灌漑用水源として利用されています。この池はただの貯水池ではなく、歴史や伝説、豊かな自然に囲まれた場所として地域の文化や生態系に大きな役割を果たしています。
三島池は四季折々の景色が楽しめる観光地としても人気です。特に伊吹山を背景に池の水面に映る景観は多くの観光客に親しまれています。池の周りには散策路が整備され、リフレッシュに訪れる人々で賑わいます。池の北東には「女滞」という水路が接続され、南側には「蛍の川」が流れており、6月上旬にはホタルが舞う幻想的な風景が広がります。
三島池の周囲には「グリーンパーク山東」という公園が整備されており、家族連れや観光客の憩いの場として人気があります。ここではピクニックやハイキング、アクティビティを楽しむことができ、親水空間として地域住民に愛されています。
三島池には「比夜叉池」と呼ばれる由来となる伝説が残っています。鎌倉時代の初め、この地の領主であった佐々木秀義が池の水不足に悩んでいたとき、ある神託が告げられました。人柱を立てて水神に祈れば池に水が戻るとのことです。領主の乳母であった「比夜叉御前」が自ら人柱となることを申し出て、機織り道具とともに生き埋めになったといいます。その後、池には水が満ち、静かな水面から機織りの音が聞こえるという伝説が今日まで伝えられています。池のそばには「比夜叉女墓」があり、訪れる人々にこの伝説を静かに語りかけます。
三島池は多様な動植物の生息地としても知られています。特に魚類や水鳥が豊富に見られ、訪れる人々を楽しませています。
三島池にはコイ、ドジョウ、フナ、ナマズといった在来種に加え、ブルーギルなどの外来種も生息しています。これらの魚類は池の生態系を豊かにし、釣りや観察を楽しむことができます。
三島池にはさまざまな種類の水鳥が飛来し、一年を通して観察が可能です。特にアオサギ、カイツブリ、カルガモ、マガモが多く見られ、季節によってはオシドリやオナガガモ、コガモ、ダイサギ、トモエガモ、ヒドリガモといった冬鳥も観察できます。
1959年、三島池は滋賀県の天然記念物「マガモ自然繁殖の南限地」に指定されました。一部のマガモはこの池を年間通じて生息地としており、繁殖も行っています。1964年には周辺が鳥獣保護区に指定され、保護活動も行われています。
三島池の周辺には、多彩な施設が整備されており、訪れる人々に様々なアクティビティや学びの機会を提供しています。
ビジターセンターでは、三島池の自然やマガモの生態について学ぶことができる展示施設が設けられており、観光客に三島池の自然環境と動植物に関する理解を深めてもらうことを目的としています。
宿泊施設である「鴨池荘」では、自然に囲まれた環境でゆったりと過ごすことができ、学校や団体向けの研修にも利用されています。
屋内運動施設「グリーンドーム」では、天候に左右されずに運動を楽しむことができ、地域住民や観光客に広く利用されています。
ゴルフ愛好者のために、ショートコースの三島池ゴルフガーデンが設けられており、美しい景色を楽しみながらスポーツを楽しむことができます。
グリーンパーク山東には林間キャンプ場があり、家族連れやアウトドア愛好者にとって人気のスポットです。自然の中でキャンプを楽しみながら、三島池の豊かな生態系に触れることができます。
ゲートボール場やフィールドアスレチックも整備されており、老若男女問わず幅広い年代が楽しめるスポーツ施設として親しまれています。
三島池へは、滋賀県米原市の交通手段を利用してアクセスすることができます。JRやバスの利用が便利です。美しい景色と自然豊かな三島池を訪れて、豊かな歴史と自然に包まれたひとときを過ごしてみてください。