了徳寺のオハツキイチョウは、滋賀県米原市醒井にある、国の天然記念物に指定されたイチョウの一種「オハツキイチョウ」です。1929年(昭和4年)12月17日に指定を受け、日本国内で指定された7件のオハツキイチョウの1つに数えられます。
了徳寺のオハツキイチョウは推定樹齢約165年とされ、その旺盛な樹勢が特徴です。幹は太く、枝が垂れ下がる様子が印象的で、地上約8メートルのところから枝分かれしている点も特徴です。幹囲は指定当初の約2.5メートルから成長し、1995年時点で約4.3メートルに達しています。
「オハツキ」とは、「御葉附(おはつき)」と書き、イチョウの葉の表面や枝先にギンナンが付く特徴を指します。通常のイチョウとは異なり、オハツキイチョウは葉自体にギンナンが結実する珍しい種です。全国でも20数本しか確認されておらず、国の天然記念物に指定されているものはわずか7本です。滋賀県内では、了徳寺のほかにも、守山市の東門院や大津市の盛安寺のオハツキイチョウが知られています。
了徳寺は、浄土真宗本願寺派に属する寺院で、中山道61番目の宿場「醒ヶ井宿」にあります。この宿場は、梅花藻が咲く清流の地蔵川で知られ、観光スポットのひとつです。了徳寺は醒ヶ井宿の中ほどに位置し、旧中山道沿いにあり、街道筋から山門を少し入った境内の西隅にオハツキイチョウが生育しています。そのため、周辺の宿場建物の屋根越しからも樹幹上部が見えるほど高さがあります。
了徳寺のオハツキイチョウは毎年8月から11月にかけてギンナンをつけます。葉の縁や枝先に1~2個、多いものでは5~8個のギンナンが付くことがあり、この現象が「オハツキ」として知られています。このギンナンは通常のものと形状が異なり、小さく細長い楕円形をしています。地域では「花も咲かずに実のなる木」「葉から実がなる不思議な御葉附き銀杏」として昔から大切に保護されてきました。
住所:滋賀県米原市醒井350