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善水寺

(ぜんすいじ)

滋賀県湖南市に位置する善水寺は、天台宗の寺院であり、山号は岩根山(いわねさん)です。本尊は薬師如来で、湖南三山の1つとして常楽寺、長寿寺とともに数えられています。この寺は、奈良時代からの長い歴史を持ち、国家鎮護の道場として重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

創建の伝承

善水寺の正確な創建時期ははっきりしていませんが、伝承によると奈良時代の和銅年間(708年 – 715年)に元明天皇が国家鎮護の道場として建立し、和銅寺と称されていたとされています。その後、平安時代の初期に最澄が入山し、池から出現した薬師如来を本尊として祈祷を行い、寺は天台宗の寺院に改められました。

最澄と善水寺

平安時代、桓武天皇が病にかかった際、最澄が法力をもって善水寺の霊水を献上し、天皇がたちまち回復したと言われています。このことから、天皇は善水寺に「岩根山善水寺」という寺号を授けました。以後、寺の境内は拡大され、十二坊と呼ばれる12の塔頭が並び、「十二坊山」とも呼ばれるようになりました。

善水寺の建築と文化財

本堂(国宝)

善水寺の本堂は、南北朝時代の建立で、木造入母屋造檜皮葺です。様式的には1364年または1366年の建築とされ、天台密教の仏堂としての特徴を持っています。本堂は桁行(正面)7間、梁間(側面)5間の広さを誇り、非常に貴重な建築物として国宝に指定されています。

元三大師堂と庭園

善水寺の元三大師堂や庭園も注目すべき文化財です。元三大師堂は、天台宗の開祖である最澄の弟子・元三大師を祀っており、庭園はその美しい景観で知られています。

霊水「善水」

善水寺には、桓武天皇の病を治したとされる霊水「善水」があります。この水は現在も汲むことができ、参拝者に人気があります。

境内のその他の施設

鐘楼と六所権現社

境内には鐘楼や六所権現社もあります。六所権現社では、伊勢神宮や春日大社、八幡宮など、6つの神々が祀られています。また、鎮守社として、地元の人々からも信仰を集めています。

行者堂と観音堂

行者堂は1876年(明治9年)に現在の場所に移設されたもので、観音堂は元禄9年(1696年)に移築されました。観音堂には丈六仏として有名な聖観世音菩薩像が安置されています。

文化財

重要文化財

善水寺には多くの文化財が所蔵されています。その中でも、国宝に指定されている本堂や、木造薬師如来坐像が有名です。この薬師如来像は、正暦4年(993年)に作られたもので、秘仏本尊として厨子に安置されています。また、2005年から2006年にかけて、京都国立博物館および東京国立博物館で特別展示されました。

その他の重要な仏像

木造四天王立像や不動明王坐像、梵天・帝釈天立像、兜跋毘沙門天立像など、鎌倉時代の仏像が数多く残されています。これらの仏像は、善水寺の宗教的な重要性を物語るものです。

滋賀県および湖南市指定文化財

善水寺には、滋賀県指定有形文化財として銅造阿弥陀如来立像(元久3年、1206年作)があり、湖南市指定有形文化財には十二神将や聖観世音菩薩像が含まれます。これらの文化財も、歴史的価値が高く、参拝者にとって大きな魅力となっています。

アクセスと拝観情報

拝観時間

善水寺の開門時間は9時から16時までです。拝観料は大人600円で、事前の予約は不要です。

所在地と交通アクセス

善水寺の所在地は滋賀県湖南市岩根3518番地です。公共交通機関を利用する場合、JR草津線「甲西駅」からバスで約11分、「岩根バス停」下車後、徒歩約10分です。また、車を利用する場合は、名神高速道路「竜王IC」から約20分の距離にあります。駐車場も完備されており、普通車30台、大型車4台分のスペースがあります。

まとめ

善水寺は、その歴史や文化財の豊かさから、滋賀県を訪れる観光客にとって必見のスポットです。特に、平安時代に最澄が関わった霊水や、多くの重要文化財が揃う境内は、仏教文化に興味がある人々にとって魅力的な場所となっています。また、美しい庭園や周囲の自然環境も、参拝者に静かなひとときを提供してくれます。ぜひ、滋賀県を訪れる際には、善水寺を訪れてその歴史と美しさを堪能してください。

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名称
善水寺
(ぜんすいじ)

甲賀・信楽

滋賀県