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小津神社

(おづ じんじゃ)

小津神社は、滋賀県守山市に鎮座する由緒ある神社です。この神社は古代から続く歴史的な背景と、地域の人々に長く信仰されてきた伝統を持っています。

所在地と境内の特徴

小津神社は守山市の守山駅から北西に約4.3 km離れた場所にあります。周囲を森に囲まれた静かな場所に位置し、琵琶湖の水運が重要だった時代、杉江集落の中心として発展しました。境内は広さ2万8,000平方メートルにおよび、歴史を感じさせる老樹が茂り、その中に荘厳な本殿が建てられています。

歴史的背景

小津神社は、古代豪族である小津氏を祀る神社として創建されました。後に主祭神として宇迦之御魂命が祀られるようになり、社記には567年に洪水によって社殿が琵琶湖に流出したと記されています。この洪水の際に、湖に流れ出た神霊を迎えるために氏子たちが踊りを奉納したことが、後に有名な長刀祭りとして続いています。

1260年(文応元年)には相模守越後守在判からの神納があり、安曇川御網代の寄進も記録されています。また、1335年(建武2年)には、足利尊氏がこの神社を神聖な場所とし、兵馬の進入を禁じたとされています。

その後、応仁の乱で神社は戦火に見舞われ、本殿が焼失。しかし、六角高頼の尽力により本殿は再建されました。1505年(永正2年)には再び本殿が焼失しましたが、延暦寺の僧侶である実観明舜房の指導のもと、18年をかけて現在の本殿が再建されました。

江戸時代には、近隣13の村々を氏子として神社が管理され、地域の人々に広く信仰されていました。

祭神について

小津神社の主祭神は宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)で、後に素盞鳴命(すさのおのみこと)や大市姫命(おおいちひめのみこと)が配祀されています。これらの神々は地域の農業や豊穣を守る神々として信仰されています。

祭礼

小津神社では、毎年5月5日に長刀踊りが奉納されます。この祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されており、神輿の渡御とともに、芸能の奉納が行われます。この芸能は「舁き番」と「踊り番」が輪番制で行うもので、特に杉江、赤野井、矢島、三宅、山賀、石田の集落が踊り番を担当する年には、長刀振りやサンヤレ踊りが奉納されます。

長刀踊りとサンヤレ踊り

長刀踊りでは、参加者が長刀を振りながら行列を先導します。一方、サンヤレ踊りでは花笠などの衣装を身にまとい、太鼓、鉦、ササラ、笛などの楽器で囃し立てながら行列が進行します。これらの踊りは「風流踊り」とも呼ばれ、近世初期に京都から滋賀県内各地に広まったとされています。

神輿は大神輿3基、子供神輿2基が用意され、約1 km離れた赤野井にある小津若宮神社まで往復する巡行が行われます。この巡行も地域の住民によって長年にわたり伝承されてきたものです。

文化財

重要文化財:木造宇迦乃御魂命坐像

小津神社には、国の重要文化財に指定されている木造の宇迦乃御魂命坐像が本殿に安置されています。この像は平安時代中期に作られたもので、女神像としては珍しい彩色が施されています。高さは約50 cmで、垂髪の頭上に蓮冠を飾り、立てた左膝の上に宝珠を持つ左手を置いた姿が特徴的です。

この像は、松尾大社や薬師寺の神像と並んで重要な三神像の1つとされています。

重要無形民俗文化財:長刀振り

小津神社で行われる長刀踊りは、近江地方で伝統的に行われているケンケト祭りの一環でもあります。この長刀振りは、地域の人々の信仰や歴史的背景と深く結びついた重要な文化遺産です。

まとめ

小津神社は、その歴史的背景と地域に根ざした信仰を今に伝える重要な神社です。古代豪族の小津氏に始まり、数々の歴史的な出来事を経て現代に至るまで、地域の人々に愛されてきました。特に、毎年行われる長刀踊りやサンヤレ踊りなどの祭礼行事は、地域の誇りとして今も大切に受け継がれています。

この神社を訪れることで、滋賀県守山市の歴史と文化に触れることができるだけでなく、重要な文化財に指定された遺産を実際に見ることができます。観光や歴史探訪にぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
小津神社
(おづ じんじゃ)

草津市・守山

滋賀県