琵琶湖大橋は、滋賀県大津市と守山市を結ぶ有料橋で、国道477号に位置しています。この橋は、観光や交通の重要な役割を果たしており、琵琶湖を横断する大動脈として、県内外の観光客に広く利用されています。琵琶湖大橋の開通は1964年(昭和39年)で、当初は2車線で供用が開始されましたが、1994年には4車線化され、現在は上り車線橋(新橋)と下り車線橋(旧橋)という2本の橋で構成されています。
琵琶湖は当橋を境に北側を「北湖」、南側を「南湖」と呼び分けています。橋の全長は上り車線橋が1400メートル、下り車線橋が1350メートルで、最高地点では水面から26.3メートルの高さがあり、船舶が橋桁の下を通過できるよう設計されています。また、両端よりも高く設計されており、風景を楽しむことができる観光スポットとしても人気です。
琵琶湖大橋の開通は、琵琶湖の東西間のアクセスを大幅に改善し、観光促進の要因となりました。特に琵琶湖を訪れる観光客にとって、短時間で湖を横断できる利便性は大きな魅力です。大橋を通じて湖西道路(国道161号)と名神高速道路が接続され、京都や大阪方面からも容易に訪れることが可能になりました。これにより、琵琶湖周辺の観光地はさらに発展し、地域経済にも貢献しています。
琵琶湖大橋は車両だけでなく、歩行者や自転車の利用も可能です。歩行者や自転車は無料で橋を渡ることができ、湖の美しい景色を楽しみながらの散策やサイクリングが人気です。ただし、橋の上は遮るものがないため、特に強風時には自転車での通行は注意が必要です。長距離を走る場合は、無理をせず適度に休憩を取ることが推奨されます。
琵琶湖大橋は有料道路として滋賀県道路公社によって管理されています。通行料金は車種によって異なり、例えば軽自動車は100円、普通車は150円、大型車は最大で500円となっています。歩行者や自転車は無料ですが、原動機付自転車や自動車には料金がかかります。1991年度から適用されている料金は、周辺の国道や橋と比較して設定されています。
2019年2月からはETC(自動料金収受システム)が導入され、ETCレーンを利用することで全車種の通行料金が20%割引となりました。これにより、料金所での待ち時間が短縮され、利便性が向上しました。ETC導入前までは回数券が発行されていましたが、現在は廃止されています。料金収入に基づいて、橋の維持管理や改修工事が行われており、無料化は議論されているものの、現時点では有料道路としての運営が続けられています。
琵琶湖大橋が建設される以前、琵琶湖を横断するためには船による湖上輸送が主流でしたが、道路交通の発展に伴い、その必要性は次第に薄れていきました。しかし、琵琶湖が県内を東西に分断する形となり、特に湖西地域では経済の発展が遅れ、地域間格差が顕著となっていました。そこで、滋賀県は地域格差を是正し、観光振興の一環として琵琶湖大橋の建設を計画しました。
1956年には「木ノ浜堅田間架橋促進期成同盟会」が設立され、琵琶湖横断橋の架設運動が盛んになりました。最終的に1964年に琵琶湖大橋が開通し、湖東と湖西を結ぶ重要な交通インフラとしての役割を果たすようになりました。架橋地点の地質調査や技術的な検討が行われ、航行する船舶に配慮した設計が進められました。橋の幅員や高さは、当時の交通需要に対応できるように計画され、予測交通量に基づいて4車線の設計が導入されました。
琵琶湖大橋の開通後、周辺地域は観光名所として急速に発展しました。特に湖の美しい景観を楽しむための遊覧船や、橋の両側に広がる公園施設などが整備され、多くの観光客が訪れるようになりました。さらに、橋の高所からは琵琶湖全体を一望できるため、季節ごとの風景を楽しむことができ、写真スポットとしても人気があります。
琵琶湖大橋の料金徴収は、当初2021年に終了する予定でしたが、維持管理費用や追加投資事業のために、2034年まで延長されています。2023年には、下り線が「土木学会選奨土木遺産」に認定され、その歴史的価値も再評価されています。また、橋の耐震補強工事やETCレーンの拡充など、今後も利便性の向上を目指した施策が進められています。地域住民や観光客にとって、琵琶湖大橋はこれからも重要な交通インフラであり続けるでしょう。
琵琶湖大橋は、滋賀県を象徴するランドマークであり、観光の中心的な役割を果たしています。交通の利便性を向上させ、周辺の観光地や地域経済の発展に貢献しているこの橋は、今後もさらなる発展が期待されます。琵琶湖を訪れる際は、ぜひこの橋を渡り、美しい景色とともに琵琶湖周辺の観光を楽しんでください。