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草津宿本陣

(くさつじゅく ほんじん)

草津宿本陣は、滋賀県草津市に位置する、江戸時代の宿場町の本陣として現存する貴重な史跡です。草津宿は東海道五十三次と中山道六十九次の交差点に位置し、多くの旅人や大名行列が行き交う重要な宿場でした。その中で、草津宿本陣は大名や公家、皇族などが宿泊した特別な場所で、歴史的にも高い価値を持っています。本陣の当主は田中七左衛門を名乗り、代々この役職を引き継いできました。本陣の多くの建物や敷地は現在も残されており、国の史跡にも指定されています。

草津宿本陣の概要

草津宿には2軒の本陣が存在し、そのうちの一つが田中七左衛門家が経営する「田中七左衛門本陣」、もう一つが田中九蔵家の本陣でした。田中七左衛門本陣は、木材商を営んでいたため「木屋本陣」とも呼ばれ、規模や歴史的な背景からも非常に重要な存在でした。草津宿本陣は、現在も多くの建物や敷地が保存されており、その規模は全国でも最大級です。1996年には一般公開が始まり、歴史的資料や展示を通じて訪れる人々に江戸時代の風情を伝えています。

草津宿本陣の歴史

本陣の成立と役割

草津宿本陣の歴史は、1635年(寛永12年)に遡ります。この年、田中七左衛門家が幕府から本陣職を拝命し、以降江戸時代を通じて重要な宿場の中心として機能しました。本陣は大名や高貴な旅人が滞在する特別な施設であり、その役割は非常に重要でした。また、草津宿の位置する場所は東海道と中山道が交わる交通の要所であり、多くの人々が行き交う賑やかな場所でした。

重要な出来事とエピソード

草津宿本陣には多くの歴史的な出来事が記録されています。特に有名なエピソードとして、1699年(元禄12年)7月には、赤穂事件で有名な浅野内匠頭と吉良上野介が9日違いで宿泊したことがあります。また、1839年(天保10年)には佐土原藩藩主・島津忠徹が本陣に滞在中に急逝し、藩の存続に危機が訪れることとなりました。この時、藩は本陣の協力を得て跡目相続が認められるまで2ヶ月近く滞在しました。

皇女和宮の訪問

1861年(文久元年)10月、皇女和宮が第14代将軍・徳川家茂に降嫁する途上で草津宿本陣に立ち寄りました。この際、昼食を取ったとされ、その時の献立は記録に基づいて再現され、現在でも展示されています。このように、草津宿本陣は幕末の重要な歴史的出来事の一部としても位置づけられています。

新選組の宿泊

1865年(慶応元年)5月、新選組の幹部である土方歳三、斎藤一、藤堂平助、伊東甲子太郎の4人と28人の隊士が草津宿本陣に宿泊しました。これは、新規隊士を募集するために江戸へ向かう途中で立ち寄ったものとされています。令和元年には、この時に隊士が忘れたと思われる煙管入れが発見され、当時の状況が鮮明に蘇る出来事となりました。

草津宿本陣の保存と公開

保存整備工事

草津宿本陣は、1989年(平成元年)から1996年(平成8年)までの間に大規模な保存整備工事が行われました。この工事により、江戸時代の旧態を忠実に残しつつ、現代においてもその姿を保つことができるようになりました。1996年4月からは一般公開が開始され、多くの観光客が訪れるようになっています。

楽座館の開館

2014年には、草津宿本陣に隣接する資料展示施設「楽座館」が開館しました。この施設では、草津宿の歴史や本陣に関する貴重な資料が展示されており、訪れる人々に当時の宿場の様子を詳しく伝えています。特に江戸時代の宿場に関する資料や、草津宿本陣に関連する歴史的な出来事が紹介されています。

歴史資料の発見

2019年には、草津宿本陣の教育委員会による資料調査が行われ、1万4千点もの歴史資料が確認されました。この発見により、さらに多くの歴史的な事実や当時の生活に関する情報が明らかになり、草津宿本陣の歴史的価値が一層高まっています。

草津宿本陣へのアクセス

公共交通機関でのアクセス

草津宿本陣は、JR琵琶湖線(東海道本線)およびJR草津線の草津駅から徒歩約10分の場所に位置しています。また、草津駅から出ている「まめバス」に乗車し、「草津宿本陣」停留所で下車することでもアクセスが可能です。公共交通機関を利用して簡単に訪れることができるため、観光客にも人気のスポットです。

自動車でのアクセス

自動車でのアクセスも便利で、新名神高速道路の草津田上ICから約15分、または名神高速道路の栗東ICからも約15分で到着します。周辺には駐車場も完備されており、車で訪れる観光客にも対応しています。

草津宿本陣の周辺観光

草津宿本陣を訪れた際には、周辺の観光スポットも併せて楽しむことができます。草津宿は、東海道と中山道が交差する歴史的な場所であり、他にも多くの史跡や文化施設があります。草津市立草津宿街道交流館では、草津宿に関する展示が行われており、さらに深く草津宿の歴史を知ることができます。また、草津宿周辺には宿場町の雰囲気を感じさせる建物や街並みが残されており、散策もおすすめです。

まとめ

草津宿本陣は、江戸時代の宿場町の本陣として重要な役割を果たし、多くの歴史的な出来事が繰り広げられた場所です。保存状態が非常に良く、現在もその姿を残しているため、歴史を感じることのできる貴重な観光スポットとなっています。ぜひ草津宿本陣を訪れ、その魅力に触れてみてください。

Information

名称
草津宿本陣
(くさつじゅく ほんじん)

草津市・守山

滋賀県