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草津宿

(くさつしゅく)

草津宿(くさつしゅく、くさつじゅく、くさつやど)は、近江国栗太郡に位置し、東海道五十三次の52番目の宿場として有名です。さらに中山道が合流することから、中山道六十九次の68番目の宿場でもあります。現在、この歴史的な場所は滋賀県草津市市街に位置しており、かつての本陣が現存しているため、国の史跡に指定されています。

草津宿の歴史的背景

草津宿は、古くから東西移動の要所として機能していました。室町時代には、伊勢参宮の際の中継地点として発展し、応永29年(1422年)には将軍足利義持が伊勢に向かう際に「草津御所」という宿泊施設の建設が始まったことでも知られています。さらに、永禄11年(1568年)頃には、織田信長が足利義昭に草津に代官を置くことを願い出た記録が残っています。

江戸時代の発展

草津宿が本格的に発展したのは、徳川家康が東海道を整備し、宿場を設置した時期からです。東海道の宿場として、多くの旅人や商人が行き交う場所となり、天保14年(1843年)の『東海道宿村大概帳』によると、当時の草津宿には586軒の家屋があり、そのうち本陣は2軒、脇本陣2軒、旅籠72軒が存在し、宿内には2,351人が暮らしていたとされています。

草津宿の見どころ

草津宿本陣

草津宿の最も有名な史跡は、本陣です。特に田中七左衛門が所有していた本陣は現存しており、国の史跡に指定されています。解体修理を経て、弘化三年(1846年)の姿に復元され、平成8年(1996年)から一般公開されています。この本陣は、かつての大福帳に浅野内匠頭や吉良上野介、土方歳三など歴史的に重要な人物の名前が残されている点も見どころの一つです。

追分道標

草津宿にある「追分道標」は、東海道と中山道が分岐する地点に立てられた道標であり、当時の旅人たちにとっての重要なランドマークでした。この追分道標は、今でも草津宿を訪れる観光客にとって歴史を感じさせる貴重な遺産です。

高札場

草津宿には、かつて旅人や住民に対して法令や重要な知らせを掲示していた「高札場」が存在しました。この高札場は、当時の宿場町の様子を垣間見ることができる貴重な施設です。

その他の史跡

田中九蔵本陣

草津宿には、もう一つの本陣であった田中九蔵本陣も存在しましたが、残念ながら現存していません。記録によると、嘉永6年10月6日(1853年11月6日)には篤姫(天璋院)がここに宿泊したことが知られています。

脇本陣

草津宿には時代ごとに2軒から4軒の脇本陣が存在していました。有名な脇本陣としては、大黒屋弥助、藤屋與左衛門、仙台屋茂八、柏屋十右衞門、平井屋彦右衞門などがありました。

吉川芳樹園店舗兼主屋

旧藤屋與左衛門家の一部で、江戸時代後期に建てられたこの建物は、現在では登録有形文化財に指定されています。かつての宿場町の繁栄を伝える建物として、多くの観光客が訪れています。

旅籠

草津宿には、天保年間(1830年 - 1844年)には72軒、多い時には132軒の旅籠が存在しました。宿場内の5軒から6軒に1軒が旅籠であったため、当時の草津宿は非常に賑わいのある町であったことが分かります。

貫目改所

草津宿には、正徳2年(1712年)に全国5か所に設置された貫目改所がありました。貫目改所は、品川宿や府中宿、中山道の板橋宿や洗馬宿にも存在し、草津宿はその重要な一つでした。

名物・立木神社と黒門跡

立木神社

草津宿には、立木神社という古くからの神社が存在し、多くの参拝客が訪れます。この神社は、草津宿の歴史と文化を感じることができるスポットとして人気があります。

黒門跡

かつて草津宿の入り口に存在した黒門の跡も、歴史的な遺産として保存されています。旅人が草津宿に入る際、最初に目にした門であり、宿場町の繁栄を象徴していたこの門の跡地は、現在でも多くの観光客が訪れます。

草津宿の名産

姥餅屋(うばもちや)

草津宿の名物として有名な「うばがもち」を販売する姥餅屋は、浮世絵にも描かれており、当時の旅人たちにとっての立ち寄り所として賑わいました。現在では国道1号沿いに移転していますが、当時の風情を感じさせる店舗が今も健在です。さらに、この場所は「矢橋道(やばせみち)」との分岐点であり、矢橋渡しとして知られる琵琶湖の渡し船が利用されていました。

矢橋渡しと急がば回れ

矢橋渡しは、瀬田の唐橋を経由する陸路よりも短く、琵琶湖を横断するため、多くの旅人が利用した早道として知られていました。この航路は、「急がば回れ」ということわざの語源となるほど、当時の人々に親しまれていました。

アクセス

公共交通機関でのアクセス

草津宿へは、JR琵琶湖線(東海道本線)やJR草津線の草津駅から徒歩10分で到着します。また、草津駅から「まめバス」に乗車し、草津宿本陣停留所で下車することもできます。

自動車でのアクセス

新名神高速道路の草津田上ICから約15分、または名神高速道路の栗東ICから約15分の距離に位置しています。アクセスが良いため、観光や歴史散策に便利なスポットです。

隣接する宿場

東海道の隣宿

草津宿の東海道における隣の宿場は、石部宿と大津宿です。これらの宿場を巡ることで、東海道の歴史的な旅を追体験することができます。

中山道の隣宿

草津宿の中山道における隣の宿場は、守山宿と大津宿です。中山道の宿場を巡る旅も、歴史と文化を感じる素晴らしい体験となるでしょう。

Information

名称
草津宿
(くさつしゅく)

草津市・守山

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