金勝寺は、滋賀県栗東市荒張に位置する天台宗の寺院で、山号は金勝山です。本尊は釈迦如来で、奈良時代に良弁によって開基されました。かつては「大菩提寺」と称され、湖南地方の仏教文化の中心として栄えた歴史ある寺院です。
金勝寺の創建は、聖武天皇の命により、天平5年(733年)に紫香楽宮の鬼門鎮護を目的として、良弁が創建したとされています。しかし、創建についての異なる伝えも存在します。中世の記録『興福寺官務牒疏』(嘉吉元年・1441年)によれば、寺は天武天皇の白鳳元年(672年)、役小角(役行者)が修行を行った霊跡とされ、養老元年(717年)には金粛菩薩(良弁)が開基したとされています。また、金勝寺は平城京の鬼門を守る寺としての役割を担ったとも伝えられています。
一方、寛平9年(897年)の太政官符によると、金勝寺は金粛菩薩の霊地であり、弘仁年間(810年 - 824年)に伝燈大法師位の願安によって伽藍が建立されたとされています。さらに、仁明天皇(在位833年 - 850年)の時代には勅額を賜り、「金勝寺」と称されるようになりました。
金勝寺はその後、後醍醐天皇の祈願所となるなど、国家的にも重要な寺院として位置づけられていました。寺は山中に36坊、さらに山麓には25別院を持つ大規模な寺院でした。しかし、天文18年(1549年)の火災で多くの伽藍が焼失し、寺は一時的に衰退します。近世に再建され、徳川家康から30石を与えられたものの、往時の壮大な規模を取り戻すことはありませんでした。
金勝寺の境内には、仁王門や本堂をはじめとする重要な建物が点在しています。本堂には、本尊である釈迦如来像が安置されています。さらに、二月堂には軍荼利明王像、虚空蔵堂には虚空蔵菩薩像、毘沙門天像、地蔵菩薩像がそれぞれ祀られています。
境内には千年杉や楓などの名木が多く、四季折々の美しい自然も見どころの一つです。また、春日神社の近くには里坊があり、金勝寺の歴史的な雰囲気を味わいながら散策が楽しめます。
金勝寺には、平安時代に作られた木造の仏像群があり、いずれも歴史的価値が高いものです。中でも、木造釈迦如来坐像や木造軍荼利明王立像はその大きさや技術の高さからも注目されています。以下に主な文化財を挙げます。
所在地:滋賀県栗東市荒張1394
公共交通機関:
車:
拝観料:500円(20名以上は450円)
拝観時間:9時 - 17時(冬期は9時 - 16時30分)
所在地:滋賀県栗東市荒張670-1
公共交通機関:
拝観料:無料(要電話予約)
金勝寺周辺には、他にも歴史的な寺院や自然の見どころが多数あります。金勝山山系の美しい景観や、近隣の長寿寺や常楽寺なども合わせて訪れることで、湖南地方の仏教文化をより深く感じることができるでしょう。