津野神社は、滋賀県高島市にある歴史ある神社です。高島市の今津町に2か所存在し、いずれも延喜式神名帳に記された近江国高島郡津野神社の後裔とされています。
津野神社は、今津町北仰と今津町角川の2か所に鎮座しており、それぞれに異なる歴史や神事があります。高島市内での津野神社は、地域の氏神として信仰され、多くの人々に守られてきました。
津野神社の創建については、正確な年代は不明とされています。今津町北仰にある津野神社は、紀角宿禰の6世の孫である角臣来子宿彌によって勧請されたと伝えられています。また、この神社は津野郷および河上郷の惣社とされ、地域の信仰を集めてきました。
津野神社は戦国時代に兵火によって社殿が焼失するという苦難を経験しましたが、1704年（宝永元年）に再建されました。その後も地域の氏神として崇敬され、1881年（明治14年）には郷社に列されました。
津野神社の主祭神は角凝魂神および紀角宿禰神であり、これらの神々に加えて武内宿禰（武内大臣）も配祀されています。角凝魂神は魂の根源を象徴する神とされ、紀角宿禰神は地域の守護神としての役割を担っています。
今津町北仰にある田部神社は、大国主大神を祭神とし、倉稲魂命、大田命、大宮姫命なども祀られています。これらの神々が地域の豊穣と繁栄を守護する役割を果たしています。
津野神社の本殿は、三間社流造で建てられており、正面には千鳥破風がついています。間口は二間三尺、奥行きも二間三尺としっかりとした造りです。
拝殿は入母屋造で、間口二間三尺、奥行二間三尺の広さを持ち、地域住民が参拝しやすい構造となっています。格式高い雰囲気が漂う境内で、歴史と伝統を感じられます。
境内には田部神社、稲荷社、厳島社、北野社などがあり、それぞれが異なる神々を祀っています。たとえば、田部神社は近江国高島郡の鎮座地に位置し、稲荷社は倉稲魂命、大田命、大宮姫命を祀って地域の豊作を願っています。
毎年4月18日に行われる川上祭りは、津野神社の重要な祭礼の一つです。この祭りでは、氏子が山に入り、年中の薪を苅り取り、炭を焼き、田地の肥草を苅り取る儀式が行われます。これは、地域の自然の恵みに感謝し、農作業の無事を祈るためのものです。
川上祭りでは、22か村の総社として、当番村が「みこし」「おどり組」「さんやれ」の順で奉仕します。この祭礼は、地域の住民が一体となり、伝統を守りながら神に奉仕する姿が見られる場です。
今津町角川の津野神社もまた、戦国時代に社殿が焼失する苦難を経験しましたが、地域の信仰の中心として再興されてきました。現在の建物は、明治9年（1876年）に村社として復興され、大国主命と武内宿禰を祭神として祀っています。
本殿は一間社流造であり、正面には千鳥破風がついています。間口一間、奥行一間三尺と、北仰にある津野神社に比べてやや小規模ながらも格式を備えています。拝殿も入母屋造で、参拝者が集い祈りを捧げる場として大切にされています。
今津町角川の津野神社と今津町北仰の津野神社は、どちらも延喜式内社であり、古代から続く歴史と伝統を誇ります。これらの神社は、地域住民が古くから信仰を寄せ、地域の氏神として大切にしてきた存在です。
津野神社には、社殿や拝殿といった歴史的な建造物が多く残されています。これらの建物は、地域の伝統と信仰を象徴するものであり、訪れる人々に深い歴史を感じさせます。
津野神社の境内には、田部神社や稲荷社など、さまざまな神々を祀る摂社・末社が点在しています。これらの境内社もまた、地域の信仰を象徴するものであり、それぞれが異なる役割を担いながら地域住民の信仰を支えています。
津野神社の祭礼には、地域住民や参拝者が積極的に参加し、伝統的な祭りが行われます。特に川上祭りでは、氏子が一体となって自然の恵みに感謝し、地域の繁栄と豊作を願います。祭りの日には、華やかなみこしやおどりが神社周辺を賑わせ、訪れる人々にとって特別な体験が得られます。
津野神社へは、滋賀県高島市今津町からアクセスすることができます。地元のバスや電車を利用して訪れることができ、また車での訪問も便利です。周辺には他の観光スポットもあるため、津野神社を訪れた際には、地域全体を楽しむことができるでしょう。
津野神社は、歴史と自然が調和した場所であり、訪れる人々にとって神聖な空間です。地域の伝統を守り続けてきたこの神社で、ぜひその魅力と信仰の歴史を感じてください。