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今津ヴォーリズ資料館

(いまづ しりょうかん)

今津ヴォーリズ資料館は、滋賀県高島市今津町に位置する博物館です。アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによって設計された歴史的建造物で、「ヴォーリズ通り」と称される通りにあり、今津教会会堂や旧今津郵便局と並んでいます。本資料館はヴォーリズが遺した建築作品や彼の日本での活動について紹介しています。

施設概要と特徴

今津ヴォーリズ資料館の建物は、1923年にヴォーリズ建築事務所が設計した百三十三銀行今津支店として建設されました。外観は当時の銀行建築に見られる西洋古典様式が取り入れられ、重厚で威厳ある造りが特徴です。館内では、ヴォーリズの生涯と彼が日本各地に手掛けた建築物をパネルや模型で紹介しています。また、展示室の中央にはカフェが併設されており、演奏会や文化教室などが開催される地域のサロンとしても機能しています。

歴史と変遷

利用案内

資料館の利用に関しては以下の通りです:

アクセス情報

資料館へのアクセス方法は以下の通りです:

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ:日本建築に尽力した異邦人

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)は、1880年にアメリカのカンザス州で生まれた建築家です。1905年、YMCA派遣の英語教師として来日し、その後、日本各地で数多くの西洋建築を手掛け、キリスト教プロテスタントの信徒伝道者としても活動しました。ヴォーリズは近江八幡市を中心に多くの建築を遺し、日本の西洋建築界に多大な貢献をしました。

来日と伝道活動

1905年、滋賀県立商業学校(現:滋賀県立八幡商業高等学校)に英語教師として赴任したヴォーリズは、放課後に聖書研究会を開き、キリスト教伝道を開始しました。しかし、仏教徒からの反発もあり2年で教職を解かれましたが、自らの建築技術を活かし資金を得ながら近江八幡での伝道を続けました。

建築家としての活動

ヴォーリズは米国の建築様式を取り入れた住宅や教会、学校などを数多く手掛けました。京都YMCA会館をはじめ、日本各地に独特のアメリカン・スタイルの建築を生み出し、近江八幡を拠点とする建築事務所「ヴォーリズ合名会社」も設立しました。

主な建築作品

ヴォーリズの建築作品は関西を中心に数多く残っています。彼の設計は様々な建築様式が見られ、以下のような建築物が含まれます:

近江ミッションと社会事業

ヴォーリズは「近江ミッション」という伝道団体を設立し、滋賀県内でキリスト教伝道や社会事業活動を展開しました。特に結核療養所の設立や幼稚園、女学校の開設など、社会貢献に力を注ぎました。

ヴォーリズと日本社会への貢献

ヴォーリズは1920年に近江セールズ株式会社を設立し、建築材料や家庭薬の輸入販売を行いました。特に、アメリカのメンソレータムを日本に普及させた功績があり、現在は「メンターム」として広く知られています。1941年には日本に帰化し、一柳満喜子夫人と結婚して「一柳米来留(ひとつやなぎ めれる)」と改名。帰化後も日本の社会発展に尽力しました。

「天皇を守ったアメリカ人」と称される業績

第二次世界大戦終戦直後、ヴォーリズはダグラス・マッカーサーと近衛文麿の仲介に尽力し、「天皇を守ったアメリカ人」として称賛されました。彼の日本への愛情と貢献は多くの人々に尊敬され続けています。

まとめ

今津ヴォーリズ資料館は、日本に多大な影響を与えたウィリアム・メレル・ヴォーリズの足跡をたどることができる貴重な施設です。その歴史的価値は建築的にも文化的にも非常に高く、ヴォーリズ通りの散策と合わせて多くの人々が訪れています。彼の建築と活動に触れることで、ヴォーリズの日本への思いと、その時代の日本社会に果たした役割の大きさを感じることができるでしょう。

Information

名称
今津ヴォーリズ資料館
(いまづ しりょうかん)

湖西・高島

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