日置神社は、滋賀県高島市今津町酒波(さなみ)に鎮座する歴史ある神社です。式内社論社であり、旧社格は郷社に属しています。その昔、この地は「酒波岩劔大菩薩」として知られていましたが、現在は「日置神社」の名で広く親しまれています。
祭神: 素盞嗚命、日置宿禰命
神紋: 十六枚菊
旧社格: 郷社
日置神社は古くから「酒波岩劔大菩薩」と呼ばれ、河上郷の惣社として人々に崇敬されていました。伝説によると、垂仁天皇の時代、この地にある「腹赤の池」に大蛇が現れ、人々を苦しめていたといわれています。その際、素盞鳴命と稲田姫命が現れ、この大蛇を退治しました。その後、大蛇の尾から得た剣をこの地に投げ、そこに「岩劔の神」として祀られたことが神社の始まりとされています。
日置神社は、徳川時代に「岩劔大明神」や「若岩劔宮」とも呼ばれました。明治9年(1876年)には郷社に列し、布留宮家が代々神職を世襲しています。また、正徳2年(1712年)には社殿が再建され、その後も人々の信仰の中心として栄えてきました。
日置神社の本殿は三間社流造(さんげんしゃながれづくり)で、正面には千鳥破風が設けられています。本殿の間口は三間、奥行きも三間とされ、重厚な造りが特徴です。拝殿も同様に間口三間、奥行き三間の入母屋造で、本殿とともに社の格式を象徴する建築物です。
境内には「関白頼道塔」と呼ばれる高さ8尺(約2.4メートル)の五輪石塔があり、俗に「宇治権現」とも称されています。この石塔は、観応2年(1351年)に若狭三方能登倉見より山手として寄進されたと伝えられ、毎年2月7日には祭典が執り行われています。
日置神社では毎年4月18日に「川上祭」が行われます。この祭りでは、氏子たちが山に入り、薪を伐り出し、炭を焼き、田地の肥草を刈り取るなど、伝統的な山手の神事が行われます。これにより、一年の収穫や生活に必要な資源を得ることができるとされ、地域住民にとって重要な行事です。
川上祭以外にも、日置神社では定期的に神事が行われます。特に、五輪石塔「宇治権現」に関連する祭典が毎年2月7日に催され、地域住民が参列し、豊作や無病息災を祈念します。
日置神社の近くには、真言宗智山派の寺院である「酒波寺」があります。この寺は地域の信仰の中心としても知られ、歴史的な価値が高い建築物が多く残されています。訪れる際には、日置神社と合わせて散策するのもおすすめです。
また、近隣には「弓削神社」もあり、こちらも古くから地域住民に親しまれてきた神社です。今津総合運動公園も周辺に位置し、観光やレクリエーションに最適なスポットが点在しています。
日置神社は滋賀県高島市今津町酒波にあり、公共交通機関や車でのアクセスが可能です。