高島市は、滋賀県北西部に位置する市で、人口は約4万人です。市域は琵琶湖の西岸から福井県若狭地方との県境まで広がり、面積は693.05平方キロメートルと県内最大の広さを誇ります。琵琶湖を縦断する西近江路や若狭街道が通り、交通の要衝として栄えました。高島市には、豊かな自然環境を活かした観光スポットや歴史ある神社仏閣が数多く存在し、訪れる人々に心休まる体験を提供しています。
高島市には、美しい景観を楽しめる自然スポットが豊富に揃っています。特に琵琶湖やその周辺の自然の景観は、四季折々で異なる美しさを見せ、多くの観光客を魅了しています。
琵琶湖に浮かぶ「沖の白石」は、その神秘的な存在感で訪れる人々を魅了します。琵琶湖の中にそびえ立つ白石は、古くから信仰の対象とされており、自然が生み出す造形美を堪能できます。
「萩の浜」は日本の渚百選に選ばれており、美しい砂浜が広がるビーチです。夏には多くの人々が訪れ、湖水浴やバーベキューを楽しむ姿が見られます。
「八ッ淵の滝」は日本の滝百選にも選ばれる名瀑で、数多くの滝が連なる自然の美しさが見どころです。滝の周辺には豊かな緑が広がり、清らかな水音が訪れる人々の心を癒します。
「畑の棚田」は、日本の棚田百選にも選ばれる美しい棚田で、特に田植え時期や収穫期の風景が一段と美しく見えます。高島市の農業の伝統と自然の調和を感じることができるスポットです。
メタセコイアの並木道は日本街路樹百景にも選ばれた美しい景観です。四季折々で異なる表情を見せる並木道は、特に紅葉の季節になると多くの観光客が訪れます。
「海津大崎」は琵琶湖八景の一つで、特に春の桜が有名です。日本さくら名所100選にも選ばれており、毎年多くの人々が訪れる桜の名所です。琵琶湖と桜の見事なコントラストは、見る人々に感動を与えます。
高島市の「生杉のブナ原生林」は、自然そのままのブナの木々が茂る原生林です。特に秋には美しい紅葉が見られ、自然愛好家にとって貴重な観光地です。
「今津浜」や「今津のザゼンソウ群落」は、高島市の特色ある自然スポットです。ザゼンソウは国内の南限に自生しており、特に春先には多くの人々が訪れます。
「高島トレイル」は市内の中央分水嶺を縦走するトレッキングルートです。初心者から上級者まで楽しめるコースが用意されており、四季折々の自然を堪能しながら山歩きを楽しむことができます。
「マキノ高原」は冬にはスキー、夏にはキャンプが楽しめるリゾート地で、年間を通じてアウトドア活動を楽しむことができるスポットです。
高島市には歴史と伝統を感じる神社仏閣が数多く点在しており、多くの参拝者や観光客が訪れます。それぞれの神社や寺院には、長い歴史と地域の信仰が息づいています。
「白鬚神社」は琵琶湖に浮かぶ湖中鳥居がシンボルの神社で、特に朝日や夕日が鳥居を照らす景色が神秘的です。湖面に浮かぶ鳥居は、訪れる人々に強い印象を与えます。
「水尾神社」は地元の人々から親しまれている歴史ある神社で、季節ごとに様々な行事が行われます。
「白山神社」は、宮野地区に位置する歴史深い神社です。美しい社殿と周囲の自然が調和し、厳かな雰囲気が漂います。
「日吉神社」は、勝野地区に鎮座する神社で、地域の人々に愛されています。毎年秋に行われる祭礼には、多くの人が集まり賑わいます。
「宇伎多神社」は地域に根付いた信仰の場であり、古くからの歴史を持つ神社です。
高島市内には、数多くの仏教寺院も点在しています。それぞれの寺院には歴史的な建造物や文化財があり、仏教文化を学ぶことができる場となっています。
「禅智院」は、禅宗の教えを学ぶための寺院で、地域の人々に親しまれています。
「願應寺」は、勝野にある歴史ある寺院で、落ち着いた雰囲気の中で参拝することができます。
「西光寺」は安曇川町南船木に位置する古寺で、地域の仏教信仰の中心となっています。
高島市には、キリスト教会も存在し、地域の多様な宗教文化を反映しています。
「日本基督教団今津教会会堂」は、今津町今津にある教会で、地域の人々に信仰の場を提供しています。
「カトリック安曇川教会」は、安曇川町西万木に位置し、キリスト教徒の集いの場となっています。
高島市は縄文時代からの多くの遺跡が存在し、古代の生活や文化を今に伝えています。以下は代表的な古代遺跡の一部です。
鴨遺跡
鴨遺跡は、縄文時代から江戸時代に至るまで続いた複合遺跡で、平安時代前期の木簡が5点出土した貴重な遺跡です。
上開田遺跡
縄文時代中期の打製石器や古墳時代の土壙墓が見つかっており、当時の人々の生活を垣間見ることができます。
仏性寺遺跡
縄文時代の土偶や切目石錘、敲石などが出土した遺跡で、古代信仰の様子がうかがえます。
北仰西海道遺跡
縄文時代後期から弥生時代後期の共同墓地としての性格を持つ遺跡で、約100基の土器棺墓が発見されています。
森浜遺跡
弥生時代から古墳時代前期にかけて存在した遺跡で、古代琴が出土したことでも知られています。
この他にも、針江浜遺跡(湖底遺跡)や熊野本遺跡(高地性集落)、天神畑・上御殿遺跡(渡来人との交流を示す遺跡)など、高島市内にはさまざまな時代の遺跡が数多く残されています。
高島市には中世から近世にかけての歴史的な遺跡も多く見られます。
高嶋七ヵ寺
高島郡にあった天台宗の七大寺院で、当時の信仰の中心地としての歴史を伝えています。
木津港跡
福井県小浜藩の蔵屋敷があった場所で、新旭町饗庭木津区は小浜藩の領地であったことから、歴史的に重要な場所とされています。
高島市には、多くの古墳が点在しており、古代日本の文化と歴史を物語る重要な遺産です。
鴨稲荷山古墳
約50メートルの前方後円墳で、朝鮮半島の影響を受けた多くの貴重な副葬品が出土しており、被葬者は継体天皇の親族と推定されています。
田中王塚古墳
5世紀半ばの円墳で、継体天皇の父、彦主人王の陵墓とされています。宮内庁の管理下にあり、貴重な史跡です。
他にも、田中古墳群、熊野本古墳群、平ヶ崎王塚古墳、南畑・下平古墳群など、多数の古墳が高島市内に点在しています。
高島市には戦国時代の城跡が多く残されており、歴史のロマンを感じさせます。
清水山城
高島氏の祖である高島高信が築いた城で、国の史跡にも指定されています。JR新旭駅から西方に約2キロメートルの場所に位置しています。
朽木城
高島氏の支族である朽木氏が築いた陣屋跡で、かつての高島の重要な拠点であったことを示しています。
他にも、永田城、横山城、田中城など、数多くの城跡が残されています。
高島市は豊かな自然と温泉にも恵まれており、リラックスできる温泉施設が点在しています。
くつき温泉 てんくう
標高500メートルの高地にある温泉で、四季折々の美しい自然に囲まれ、露天風呂からは絶景を楽しめます。
マキノ白谷温泉
静かな環境で心からリラックスできる温泉として知られ、多くの観光客が訪れます。
この他にも、マキノ高原温泉さらさ、白谷温泉、宝船温泉など、観光に適した温泉が多くあります。
高島市ではスポーツやレジャーも楽しめる環境が整っています。
新旭森林スポーツ公園
清水山城ハイキングコースや森林スポーツ公園として、自然と触れ合いながらスポーツが楽しめます。
マキノサニービーチ
日本の「快水浴場百選」にも選ばれた美しいビーチで、夏には多くの人が訪れます。
他にも、箱館山スキー場や国境スキー場など、季節ごとにさまざまなスポーツを楽しむことができます。
以下の施設も高島市を訪れる際におすすめです。
琵琶湖周航の歌資料館
琵琶湖を巡る旅の歴史や文化を学べる資料館で、多くの観光客に親しまれています。
日本基督教団今津教会会堂
歴史ある教会で、周辺には美しい建築物が点在しています。
他にも、新旭町針江区の「生水の郷委員会」や、滋賀県立びわ湖こどもの国、ガリバー青少年旅行村など、家族で楽しめる観光スポットも豊富です。
高島市は多様な名産物にも恵まれています。訪れた際にはぜひ地元の特産品もお楽しみください。
鮒寿司
琵琶湖で獲れた鮒を発酵させて作る伝統的な寿司で、高島市ならではの味わいを楽しめます。
近江鴨
滋賀県産の鴨肉で、独特の味わいと柔らかさが特徴です。
他にも、鯖のなれずし、湖魚の佃煮、栃餅、丁稚羊羹、高島とんちゃん(味噌ダレで味付けした鶏肉焼き料理)など、幅広い特産品が揃っています。
工芸品
高島市は、ちりめん、雲平筆、木工品などの伝統的な工芸品の生産地としても知られています。
高島市には、古代から関西地方と北近畿・北陸地方を結ぶ主要な交通ルートである北陸道が通り、歴史的にも交通の要所でした。市内には安曇川や石田川の流域に平地が広がり、それ以外は比良山地や野坂山地に覆われ、豊かな森林に恵まれています。また、琵琶湖の水質も良好で自然が保たれているため、住民や観光客にとって憩いの場となっています。
特に有名な観光スポットには、マキノ町海津大崎があり、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。春には10万人を超える花見客が訪れ、桜の美しさを楽しんでいます。その他にも、カタクリの群生地(マキノ町)やザゼン草(今津町)、川端(針江区)の湧水など、自然景観が豊かな観光地として有名です。
また、安曇川沿いでの扇骨の生産や、「琵琶湖周航の歌」の発祥地としても知られ、観光だけでなく伝統工芸や音楽文化にも触れることができます。
高島市は日本海側気候に属し、旧今津町や旧マキノ町、旧朽木村は特に豪雪地帯に指定され、冬季には多くの積雪が見られます。そのため、スキー場も多く、冬のアクティビティを楽しむ観光客にも人気があります。市内には森林セラピー基地もあり、心身を癒す場として注目されています。
高島市の名称の由来は、日本の古代史書『日本書紀』に遡ります。継体天皇即位前紀に「近江国高島郡三尾之別業」と記され、これが初見とされています。『万葉集』や『和名抄』にも「タカシマ」の名が登場し、古くから「高島」という名称が定着していたと考えられます。
さらに、『日本書紀』や『古事記』の成立より古いとされる『上宮記』の逸文には、継体天皇の父である彦主人王が「弥乎国高島宮」に居住していたと記され、この地域が高島市の名称の由来となった可能性があります。また、百貨店「髙島屋」の創業者の義父の出身地が高島であったことから、高島市と高島屋は共同企画を行うこともありました。
高島市は、山々や湖沼、河川など多様な自然環境に恵まれています。市内には以下のような地形が存在します。
高島市は、縄文時代から人々が定住し、特に安曇川や鴨川流域の沖積平野での暮らしが始まったとされています。弥生時代には、安曇族と呼ばれる有力氏族が定着し、その名を川に残しています。また、県名の「滋賀」も安曇族に由来するとされています。
高島市は、都と北陸地方を結ぶ往来の要として重要な拠点となり、多くの人々が行き交いました。『古事記』には、第15代天皇である応神天皇がこの地域を通り若狭から北陸地方へと向かったという記述もあり、古代から主要なルートとして利用されていたことが示されています。
古墳時代には湖西北部に多くの古墳が築かれ、約450年頃には第26代天皇である継体天皇が近江国高嶋郷三尾野(現・高島市)で生まれました。この周辺には、継体天皇の父である彦主人王の陵墓とされる田中王塚古墳や、彼を支えた三尾氏の陵墓とされる鴨稲荷山古墳が存在します。
飛鳥時代の672年には、壬申の乱で高島市の三尾が戦場となり、三尾城が陥落しました。奈良時代には、藤原仲麻呂の乱で敗れた藤原仲麻呂(藤原恵美押勝)が高島の湖上で討ち取られるなど、歴史的な事件の舞台となりました。また、8世紀から9世紀にかけて、高島市は渤海使が国際航路として利用するなど、日本と外国との交流の拠点でもありました。
平安時代の高島市は、和名類聚抄に「木津」「鞆結」「善積」「河上」など10郷が存在したと記されています。特に木津荘は比叡山延暦寺の領地に組み込まれ、延暦寺の重要な経済基盤となりました。また、鎌倉時代には近江源氏の佐々木高信が高島に所領を分与され、以来、高島氏がこの地を治めました。
高島氏は数流に分かれて高島郡の各所に城を構え、戦国時代まで繁栄しました。彼らは地域の発展に大きく貢献し、文化や産業においても多大な影響を与えました。
高島市には多くの観光スポットがあり、特にマキノ町のカタクリ群生地や今津町のザゼン草など、自然豊かな観光地が数多く存在します。春にはマキノ町の海津大崎の桜が見頃を迎え、多くの観光客が訪れます。
また、毎年開催される「琵琶湖周航の歌音楽祭」や、地元の伝統芸能である「今津人形浄瑠璃」などのイベントも多く、観光客や地域住民にとって楽しみの一つとなっています。
高島市は、自然美と歴史的建造物が織り成す豊かな観光資源を持っています。訪れる人々は、美しい自然や歴史ある建造物を楽しむとともに、地域の信仰や文化に触れることができます。高島市は、日常の喧騒を離れ、心休まるひとときを過ごすのに最適な観光地です。